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法務省、戸籍の完全滅失を防ぐ副本データ管理システムを構築

2014年3月に全市区町村へ展開完了

 株式会社日立製作所(以下、日立)は3日、法務省の戸籍副本データ管理システムを構築したと発表した。2013年9月から運用を始め、2014年3月に例外を除くすべての市区町村の副本データの管理を開始した。

 従来、副本データは市区町村と近接する管轄法務局などで保存されていたが、同システムの稼働により、各市区町村とネットワークでつながれた全国2カ所の戸籍副本データ管理センターにて管理される。

 市区町村と管轄法務局が同時に被災するような、大規模かつ広範な災害による戸籍の完全滅失を避けるのが狙い。

 2011年3月の東日本大震災時には、宮城県および岩手県の4市町の戸籍正本が津波で滅失したが、管轄法務局などに保存された副本により戸籍を再製できた。しかし、管轄法務局などは市区町村と近接地に設置されているため、正本と副本が同時に滅失する恐れもあったという。同システムにより、今後は市区町村から遠隔地に設置された全国2カ所のセンターで副本データが管理されるため、戸籍の完全滅失を防げるとしている。

 また、副本データは従来、市区町村から1年に1度管轄法務局などへ送付されていたが、同システムでは市区町村が持つ最新の副本データを日々LGWAN経由でセンターに送信。センターの副本データが日々最新の情報に更新されるため、万が一再製の必要が生じても、前日までの戸籍を迅速に再製できるという。

システム概要

 なお、同システムは日立の「ADWORLD戸籍総合システム」、公共機関向け電子字典「五萬悦」、日立公共システムの漢字総合管理システム「漢字かなめ」、日立ソリューションズの大容量高速ファイル転送サービス「活文 デジ活ワイド」が採用されている。

川島 弘之