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NEC、Xeon E7 v2搭載の次世代エンタープライズサーバー「NX7700x」

ビッグデータや社会インフラ基盤向け

NEC 執行役員の福田公彦氏

 日本電気株式会社(以下、NEC)は19日、基幹システムやビッグデータ活用における高信頼基盤向けに、最大15コアのXeon E7 v2製品ファミリーを採用し、WindowsやLinuxに対応したエンタープライズサーバー「NX7700xシリーズ」を発売した。

 新製品の発表にあたり、基幹システムを取り巻く市場環境について、NEC 執行役員の福田公彦氏は、「従来の基幹システムは、ERP・CRM・SCMといった定型業務での用途が中心であった。最近では、増え続けるビッグデータを活用した顧客・商品分析や需要予測のシステムや、インフラ監視・制御、セキュリティ、スマートエネルギーなど高度化する社会インフラを支えるソリューション基盤など、基幹システムのニーズは新たな領域へと拡大している」と説明する。

NECのサーバー製品ラインアップ

 「新領域の基幹システムでは、これまでの可用性・信頼性に加えて、先端テクノロジーに対応できる高性能・拡張性を備えるとともに、オープンで効率的なプラットフォームが求められている。そこで今回、こうしたニーズに対応し、新領域の基幹システムを支える基盤となる次世代エンタープライズサーバーとして『NX7700xシリーズ』をリリースする」(福田氏)と、新製品を投入する狙いを述べた。

 また、今回の新製品を機にグローバル展開を加速させる考えで、「まず、ステップ1として、NECアメリカを中心にパートナーとの連携を強化し、北米市場において重点3領域(データベース、ビッグデータ、仮想化)のソリューション強化・拡大を推進する。そして、ステップ2では、欧州やAPAC、その他ラテンアメリカや南アフリカなどの地域に事業を拡大していく」(福田氏)という。「『NX7700xシリーズ』は、今後3年間で1000システムの販売を目指す」(福田氏)と意欲を見せた。

NX7700xシリーズの特徴

NEC ITプラットフォーム事業部 事業部長の岩本和昭氏

 「NX7700xシリーズ」の大きな特徴は、(1)メインフレーム/UNIXサーバークラスの高信頼性・高可用性、(2)新領域の基幹システムに最適な高性能、(3)柔軟・高効率なシステム運用性--の3点。NEC ITプラットフォーム事業部 事業部長の岩本和昭氏は、新製品の開発コンセプトについて、「当社が持つプラットフォームのコア技術を結集し、ハードウェアだけでなくソフトウェアとも連携して、高可用・高性能・高効率のプラットフォームを追求した」と述べている。

 具体的には、“高信頼・高可用”では、NEC独自のサービスプロセッサ技術とファームウェア技術を駆使したRAS(高信頼性)機能を実装。「この機能により、CPUのコアやメモリを監視し、障害予兆が現れた場合に動的にコアを切り離し、予備コアを組み込むことで、自律的な予防保守を行う」(岩本氏)としている。

NX7700xシリーズ

 また、重要業務のデータベース利用領域においては、クラスタリングソフトウェア「CLUSTERPRO X」とサービスプロセッサの連携機能、およびデータベースのクラスタリングを実現するための「Oracle Clusterware/Oracle RAC」との連携機能を強化した。これにより、フェイルオーバーを従来比最大1/10の時間で安全に実行し、ユーザーの業務停止時間を最小限に抑えられるようになったという。

 “高性能”の面では、最新Xeon E7 v2製品ファミリーを最大で4CPU搭載し、従来機比で約2倍の性能向上を実現。最大4TBの大容量メモリを生かしてデータを高速処理する「インメモリーデータベース」にも対応可能となっている。さらに、I/Oスロットには最新規格のPCI-Express 3.0を最大16スロット搭載しており、複数のネットワークインターフェイスカードやストレージインターフェイスカード、フラッシュストレージなどを同時に活用するリアルタイム分析基盤を構築することができる。

CPU障害の予兆監視機能
CPUコアのオンデマンド拡張機能

 “柔軟・高効率”については、運用開始後に必要なCPUコアをオンデマンドで有効化できる「COPT機能」に対応。「これにより、初期コストを抑えながら、将来の業務拡張を視野に入れたCPUリソースの効率的な利用を実現する。また、業務量の増加にともなう性能追加の際も、システムを止めずにCPUコアの増設を行うことができる」(岩本氏)という。さらに、80 PLUS Platinum規格取得の高効率電源の採用や、40℃環境での動作保証により、長期間にわたる省電力で高効率な運用をサポートする。

 なお、「NX7700xシリーズ」の性能と信頼性・可用性を活用し、ソリューション型プラットフォーム「NEC Solution Platforms」のラインアップも強化する。「NX7700xシリーズ」をベースとして、信頼性・可用性をさらに向上させた「Data Platform for Oracle Database」を本日より販売するほか、Windows基盤を活用した「Data Platform for Microsoft SQL Server」および、SAP HANA向けアプライアンスサーバー「NEC High-Performance Appliance for SAP HANA」を2014年度第1四半期に発売する予定。

 「NX7700xシリーズ」の価格は、高可用モデルの「NX7700x/A2010M-60」が333万4000円(税別)から、「NX7700x/A2010M-30」が363万8000円(同)から、「NX7700x/A2010M-15」が307万6000円(同)から、スタンダードモデルの「NX7700x/A2010L-60」が174万3000円(同)から。いずれも出荷開始は3月28日となる。

唐沢 正和