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国際訴訟を戦う日本企業を支援――UBIC、eディスカバリ専用ラボを開設

 国際訴訟支援サービスを手がける株式会社UBICは23日、近年重要度を増している国際訴訟におけるeディスカバリ(電子証拠開示)に関して、さらに迅速に高クオリティなサービスを提供するため、専用ラボラトリ「Discovery Operation Center(DOC)」を本社内に開設した。

DOC

 同ラボの特徴は、(1)世界の各拠点(東京、米国レッドウッドシティ/ニューヨーク、韓国、台湾)をビデオ会議システムで24時間365日常時接続、(2)ラボ内のデスク配置を案件別のグループ単位に円弧状に置き、スタッフ間の意思疎通をスムーズに、(3)大型テレビモニターで世界各地の情報をリアルタイムに共有している点。「eディスカバリ専用のラボとしては日本最大規模、世界トップレベルのテクノロジを持つと自負している」(同社)。

 同社は2010年3月、eディスカバリ支援システム「Lit i View(リット・アイ・ビュー)」をリリースし、国際訴訟における電子データの証拠保全・調査・分析サービスを提供してきた。2013年5月には米NASDAQに上場。“訴訟大国アメリカ”で高い評価を受けているという。

 これまでeディスカバリにおけるドキュメントレビューは、多数の弁護士が多額のコストをかけて目視で行ってきた。それに対して同社は、AI応用技術「Predictive Coding」を自社開発し、レビュー作業に投入している。

 これは、熟練弁護士が電子データの中から証拠を見つけ出す際の判断や調査のパターンをAIに教え込み、解析作業の大半をコンピュータに肩代わりさせるもので、データ分析速度は熟練弁護士の約4000倍、精度は90%を超えるという。

 また、グローバル企業が国際訴訟を闘う際に大きな壁の1つとなる、離れたロケーション間でのオペレーションによるタイムロスを、「U-AXIS(Ultimate Axial Intelligent System)」という仕組みで解消。60インチの大型テレビモニターを3台天井に設置し、あらゆる確度から画面を見ながら、世界各地のスタッフ・弁護士と“隣で一緒に仕事をしている感”を実現しているという。

 このほか、デスクを円弧状に配置してスタッフ同士の話し合いをスムーズにするなど、全スタッフが随時コミュニケーションをとりながら仕事を進められる環境を整えている。

 eディスカバリ作業において最も気をつけなければいけないのが情報の流出。UBICによれば、特に企業が米国などの海外ベンダーに作業を委託する場合、委託先がクライアントの了解なしにほかのベンダーに再委託することがあり、注意が必要という。「その点、同ラボではLit i Viewにより作業の全行程をワンストップに処理するため、国外にデータが流れない」とのこと。

 セキュリティ対策としてはそのほか、監視カメラ、静脈認証による入館管理、金属探知機などを設置。同社社員でも権限のないものは入室不可とし、入退室時間も制限している。

川島 弘之