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DC設備の包括的運用管理技術の導入は進まず、多く見積もって0.5%~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は5日、国内のデータセンターインフラ管理(DCIM)の状況に関する調査結果を発表した。DCIMとは、サーバーやネットワークなどのIT機器だけでなく、それらを冷却するための空調設備、非常用電源などの設備を包括的に管理しようというもので、キャパシティの予測・計画、シミュレーションなどの機能も備えているものが多い。同社では今回、こうしたDCIMを実現するためのソフトの導入状況を調査した。

 国内のデータセンターのうち、DCIMを導入して使っている拠点の比率は、多く見積もっても約0.5%にとどまっていることがわかったという。クラウド事業者、通信事業者、ITサービス事業者などの事業者データセンターでは、自社でカスタムメイドした管理ソフトをすでに使っているところが多く、また金融、製造、流通など一般企業のデータセンターでは、「DCIM」という製品の認知度そのものが低いためとIDC Japanでは見ている。

 なお国内のデータセンターでは、電力料金の上昇や、データセンター市場での競争激化により、データセンターの運用効率を継続的に改善することが重要になっている。しかし国内データセンターでは建物設備の老朽化が進んでいる拠点が増えているため、データセンター内のIT機器だけでなく、空調設備や電源設備などを一括して管理することが、効率改善のキーポイントになっているとのこと。

 一方で現在、国内のデータセンターでは集約が進んでおり、データセンターの平均規模は大きくなっているが、そうした大規模データセンターではDCIMのような運用管理ツールを利用することが、運用品質を高めるために有効に働く。IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「老朽化したデータセンターだけでなく、最新設備の大規模データセンターにおいても、DCIMを導入して運用品質を継続的に向上させていくことが、今後のデータセンター管理者の課題となるだろう」と指摘している。

石井 一志