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シマンテックがサイバーセキュリティ演習を提供、会津大学が有償講座に採用

サイバー攻撃に重要なチーム対処が学べる

シマンテック サイバーディフェンスアカデミー校長の平山孝雄氏

 株式会社シマンテックは10日、日本で初のサイバーセキュリティ演習(以下、同プログラム)の提供を開始した。攻撃と防御に分かれて実践的なチーム演習を行えるのが特徴。これと併せて、コンピュータサイエンス専門の会津大学が9月より開設する「2013年度 サイバー攻撃対策演習・情報セキュリティ講座」に同プログラムが採用されたと発表。教育機関での採用は日本では初のケースとなる。会津大学は校外へ向けて有料の特別講座として広く一般提供する。

 同プログラムの受講者は、シマンテックのグローバル・インテリジェンス・ネットワーク(GIN)で得られる最新のセキュリティ知見を生かし、サイバー攻撃の手法と対処法を攻撃側・防御側双方の立場から学べる。

 特に「個人向けトレーニングとは異なり、さまざまな分野の人とチームを結成し対処するなど、現実に即した形でのチーム演習が可能なものとなっている」と、シマンテック サイバーディフェンスアカデミー校長の平山孝雄氏は語る。サイバー攻撃にはチームで対処する必要があり、チーム対応力を上げることで個人の能力も上がるのだという。

 また、リアリティの高いシナリオについて実践的な訓練が行えるのも特徴。「実践的な訓練が行えるのは、GINで年間1億件を超える攻撃をブロックし、年間4万件以上の標的型攻撃を補足しているためだ。同プログラムはこれらをそのままリアリティの高いシナリオとして活用できる」(平山氏)。

チーム演習とは
シマンテックの強み

会津大学で有料の特別講座として校外へ提供

公立大学法人会津大学理事兼復興支援センター長 岩瀬次郎氏

 会津大学は、日本で唯一のコンピュータ理工学の大学として1993年に開講。コンピュータ理工学部の学生数は約1300人、学部入学者は年240名とコンピュータ分野では国内1位を誇る。東日本大震災の復興計画に深く参与しており、2015年には会津大学復興支援センターがオープン予定。そこでは復興のためのデータセンターとイノベーションの場を提供し、国内外の企業と連携、先端ICT研究、新産業振興、人材育成を推進する。

 また、経産省の産学連携イノベーション促進事業に参画し、「クラウドを核とした先端IT研究と人材育成事業の有機的連携によるイノベーション創出」という役目を担っている。その一環として行われるのが、「2013年度 サイバー攻撃対策演習・情報セキュリティ講座」だ。

 受講生が偵察・侵入、情報窃取などを実際に仕掛けたり、よく使用される攻撃ツールを実際に使用したりすることでサイバー攻撃に対する理解を深めるとともに、攻撃者の試行を理解することを目的に、攻撃や防御の一連のシナリオの流れの中で、チーム対処を視野に入れつつ、受講生個人の対処能力を確認するという。

 この講座の中でシマンテックの演習を採り入れ、上期講習(初級編)を2013年9月23日より、下期講習を2014年3月より、5日間(講義と演習を含む)の日程で行う。対象となるのは、企業・団体のセキュリティスペシャリストで有償(30万円)の特別講座(定員20名)として校外へ一般提供する。会津大学の学部生からも希望者を5名ほど参加させる。

 こうした取り組みで会津大学は地域発のICTグローバル拠点化を目指す。「現在は都内のIT企業からの参加が多いが、地元の企業にももっと参加してもらい、地域の産業振興や人材育成の中核になりたい」と、会津大学理事兼復興支援センター長の岩瀬次郎氏は語る。

川島 弘之