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「3年間で2倍の成長を目指す」~インフォア・新社長の尾羽沢氏が記者会見

代表取締役社長の尾羽沢功氏
成長戦略

 インフォアジャパン株式会社(以下、インフォア)は8日、7月1日付けで代表取締役社長に就任した尾羽沢功氏らが記者会見を実施。尾羽沢社長は今後の目標として、「3年間で2倍の成長」を挙げ、そのためにパートナーエコシステムの拡充を目指すなどと述べた。

 尾羽沢社長が引用した数字によれば、2012年の日本におけるERP市場は13%程度の伸びとのことだが、3年で2倍に成長させるためには、年平均で25%以上の伸びを維持する必要がある。これについて尾羽沢社長は、「市場の伸びをけん引しているのは、超大企業ではなく、当社が強みを持つ中堅から大企業のお客さまによる投資。製造業のお客さまでは、円安というチャンスにより従来控えていた投資を再開し、ERPへの投資が盛んになっているため、市場の成長率以上の成長が必ずできると思っている」と述べ、自信を示す。

 そして、このために必要なこととして、販売パートナーとの協業の拡充を挙げた。従来はインフォアの売り上げのうち、直販が65%を占め、間接販売は35%にすぎない。しかし、「引き合いが多くて直販だけではカバーができないため、パートナーによるヘルプが重要」なこともあって、全体の売り上げを上げながら、パートナーによる販売比率を上げていくとした。

 一方、顧客に選んでもらうために、インフォアならではの強みを訴求していくという。その強みはいくつかあるというが、もっとも大きなものとしては、“マイクロバーチカル”でのソリューション展開がある。「一口に自動車産業といっても、細かくセグメントすると、それぞれのお客さまの要求はまったく違う。それぞれにジャストフィットするようなソリューションを提供できるのが当社の強みだ」とした尾羽沢社長は、コンポーネント単位でそれぞれの企業にあった形のソリューションを組み上げ、提供していくとの姿勢を示した。

 このために同社では、尾羽沢社長の就任後、営業組織を変更している。従来インフォアでは、いわゆる“ネームドアカウント”は意識していなかったというが、「当社の製品は本社でERPを購入した後で支店や工場へ展開していくといった、さまざまな製品をさまざまなサイトで使っていただくような、深掘りの展開が可能」(尾羽沢社長)な特徴がある。

 このため、インダストリー営業はネームドアカウントを対象として活動する一方、それ以外を担当する営業としてソリューション営業を設け、パートナー営業、海外進出している日系企業をサポートするJOC(Japan Originated Company)と合わせて4本立ての体制で臨むとのこと。

 なお、パートナー経由で力を入れていくものとしては、設備・資産管理製品の「Infor EAM」、製造業向けERPパッケージ「Infor SyteLine」を挙げた。SyteLineについては、新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)との提携を7月に発表しているが、2014年度(2014年5月期)中には、これらの製品を扱うパートナーを、計5社獲得したい考えだ。

 「すでに、インフォアは製造業の生産管理に強い企業というイメージがあるが、まずはそこを徹底し、生産管理のERPを構築したいという要望があったときに、まずインフォアが思い浮かぶようにしていきたい。全体的なブランドネームもまだ弱いので、その底上げも図る。インフォア日本法人は、残念ながらInfor全体のトップ5カ国に入っていないので、2倍の成長でその中に入るのが目標だ」(尾羽沢社長)。

石井 一志