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開発者向け製品を手掛ける豪Atlassian、日本法人設立とクラウドサービスの日本版を発表
製品開発チーム向けコラボレーション・ソフトウェアの市場拡大を目指す
（2013/6/21 11:29）
製品開発チーム向けのコラボレーション・ソフトウェアを提供する豪Atlassianは、日本市場の一層の拡大を目指し、日本法人としてアトラシアン株式会社を6月13日付けで設立。日本法人設立発表のプレスミーティングを20日に開催し、同社製品をクラウドベースで提供する「アトラシアン オンデマンド」の日本語版リリースも発表した。
Atlassianは、2002年に豪州のシドニー設立されたソフトウェアベンダー。プロジェクト管理ツール「Jira」、コンテンツ・コラボレーションツール「Confluence」、Gitリポジトリ管理ツール「Stash」をはじめとするさまざまな製品を提供し、製品開発チームのアジャイル開発や分散バージョン管理システムの実現に貢献している。
来日した、Atlassianのプレジデントであるジェイ・サイモンズ氏は、「現在あらゆる企業がソフトウェアを開発し、ソフトウェアは世界を飲み込もうとしている。ナイキはデジタルデバイスを開発し、トヨタのプリウスは走るコンピュータと言える存在である。すでにソフトウェアは、ビジネスの戦略的な要素になっている。しかし、その一方で今日のソフトウェア開発は、非常に難しく困難なものである。そのため、ソフトウェア開発には効率的なコラボレーションを実現する仕組みが必要である」と述べた。
Atlassianの製品の特長の一つとして、非常に安価で容易にスタートできることが挙げられる。10ユーザーまで10ドル（米ドル）ではじめられるスターターライセンスが用意されており、製品も同社のサイトから簡単にダウンロード可能となっている。そのため、多くのユーザーが気軽に同社の製品を導入し、継続的なユーザーになるケースが多いという。
「Atlassianには、専任の営業チームは存在しない。営業コストを削減することで安価にソフトウェアを提供し、多くのお客さまに実際に使用していただくことでシェアを拡大している。実際にAtlassianの製品を使ったユーザーが、知り合いに宣伝してくれている」とサイモンズ氏は述べ、自社製品に対する自信をうかがわせた。この発言を裏付けるように同社は42四半期連続で黒字となっており、現在も右肩上がりで成長している。
また、日本のユーザーにも積極的に対応したいとするサイモンズ氏は、「今後はソフトウェアの日本語化だけではなく、さまざまなドキュメントも日本語化していきたい」と述べた。
今回日本法人の代表取締役社長に就任したスチュアート・ハリントン氏は、1984年にソーテック社創業時に取締役に就任した後、Orcad社など数々のソフトウェア企業において、20年以上日本市場の開拓を経験した人物である。また、慶應義塾大学の客員教授として、起業家向け教育プログラムに参加するといった活動にも従事しており、日本独自の企業文化にも精通している。
ハリントン氏は日本法人設立の背景として、「日本のソフトウェア開発は、米国の企業と違って効率が良くない」ことを以前から不満に思っていたと説明する。同氏は「Atlassianのツールを活用することで、より効率的な製品開発を実現できるようになる。日本の製品開発の効率化に貢献することで、ビジネスのスタイルも変革していきたい」と述べ、日本のコラボレーション・ソフトウェアの市場拡大への意気込みを示した。
Atlassianでは、パートナー企業を「エキスパート」と呼び、すでに日本でもいくつかのエキスパートが存在する。好調な売り上げを示す企業の日本法人設立であることから、新たにエキスパートを希望する企業もいくつか名乗りを上げているという。
しかし、ハリントン氏は「エキスパートになるためのハードルは確実に上がっている。Atlassianの製品に付加価値を与えてくれる企業でなければ、新たなエキスパートとして迎えることは難しい。単に製品を販売するだけの企業には興味がない」と述べた。
また、今回のプレスセミナーにおいて、これまで英語版のみだったアトラシアン オンデマンドの日本語化を実施し、すでに利用可能であることが、アトラシアン日本法人のマーケティングマネージャー、大澤俊介氏から正式に発表された。同氏は「オンデマンドとオンプレミス両方のアトラシアン製品によって日本企業の働き方を変え、国際競争力を高めていきたい」と述べた。
なお、今回日本語化が実施されたのは、同社の主要製品である課題/プロジェクト管理ツールの「Jira」、企業向けコンテンツ・コラボレーションツールの「Confluence」を含む4製品。
