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鹿島建設、世界初のクラウドを利用したBIMプラットフォームを構築

BIMデータを企業を超えたプロジェクト関係者間で共有可能に

鹿島 建築管理本部 建築技術部 担当部長の矢島和美氏

 鹿島建設株式会社(以下、鹿島)は17日、世界初というクラウドサービスを利用したBIM(Building Information Model)プラットフォーム「Global BIM」を構築し、運用を開始した。基盤にNTT Comの企業向けクラウドサービス「Bizホスティング Enterprise Cloud」を採用し、高いセキュリティを確保した上でBIMデータを保管、社内外で利用できるという。

 昨今の建設業界で普及の進むBIMは、属性情報を持った3次元CADデータであり、建設プロジェクトのさまざまなフェーズで活用が期待されている。鹿島では、従来よりBIMソフトとしてグラフィソフトジャパン株式会社の「ArchiCAD」と「TEAMWORK」(BIMサーバー)を利用して、建物を可視化し、合意形成のためのシミュレーション、建築・設備の取り合い確認、施工段階における施工図作成、施工計画などに活用していた。一方で、BIMデータは容量が大きく機密性が高いため、データ共有が社内ネットワーク内に限られ、社外のプロジェクト関係者との協調が難しいという課題があったという。

BIMとは
「ArchiCAD」と「TEAMWORK」を活用し強調を図るも、セキュリティ上の問題などから社内での共有に限定されていた
「Global BIM」の利用イメージ

 そこで、社内ネットワークのみで共有していたBIMデータを、企業を超えたプロジェクト関係者間で共有できる「Global BIM」を構築。建物の事業計画段階から竣工後の維持管理まで、社内外の関係者によるBIMデータの一元管理を可能にした。

 鹿島 建築管理本部 建築技術部 担当部長の矢島和美氏は「これは鹿島に閉じたシステムではなく、業界全体にオープンにしたシステム。他社もNTT Comのクラウドサービスを支払えば利用できる」と話す。

 プロジェクト関係者全員の共通プラットフォームとして利用が可能なため、BIMデータの交換を安全に行えるほか、関係者が並行してBIMデータの作成や更新ができ、互いの進ちょく状況を確認できるため、問題をリアルタイムに把握し、タイムリーな対応が可能になるという。

 基盤となる「Bizホスティング Enterprise Cloud」は、企業向けのプライベートクラウドサービスで、ユーザーのニーズに応じてサーバーリソースをオンデマンドに提供するほか、従来はユーザー企業側の負担だったセンター側の回線もサービスとして提供するので、帯域を気にせずに利用できるのがメリット。また、同サービスが稼働するデータセンターは、高い耐震性と安定した電力設備を持ち、NTT Comが保有するグローバルネットワークを介して海外のデータセンターへのバックアップが可能なため、BCP対策としても万全という。

 「サーバーやネットワークのリソースを、ユーザー自身がWeb上の管理画面を通して簡単に変更できるため、加速度的な増加が予想されるBIMプロジェクトにも対応可能」(NTT Com)とのこと。

 鹿島は今年度からすべてのBIMプロジェクトで「Global BIM」を運用する方針。また、BIMのグローバル展開の基盤として海外プロジェクトにおいても活用を予定する。

(川島 弘之)