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日本マイクロソフトと岡山県が災害時の協定を締結、クラウドによる支援などを無償提供

 日本マイクロソフト株式会社は21日、大地震などの緊急災害時における自治体の業務や情報発信を、ICTを通じて支援する「災害時に関する協定」を岡山県と締結すると発表した。同日、東京・品川の日本マイクロソフト本社で、同社の樋口泰行社長と、岡山県の伊原木隆太知事が、「災害時に関する協定書に関する合意書」を交わしている。

 災害発生時の情報発信などの機能低下に備えて、相互に協力し、安定した業務の継続を図るもので、災害時にクラウドサービスなどを無償で提供することになる。Microsoftとしても、世界で初めての協定締結になるという。

 協定の期間は1年間であるが、「しかるべきタイミングで延長についても話し合いを行うことになる」(岡山県の伊原木知事)、「期間を区切って無償で提供することはない。ITで社会に貢献していくという観点で支援をしていく」(日本マイクロソフトの樋口社長)としており、継続的に協定が結ばれることになりそうだ。

「災害時に関する協定書に関する合意書」を手にする、日本マイクロソフトの樋口泰行社長(左)と岡山県の伊原木隆太知事(右)
「災害時に関する協定書に関する合意書」にサインするところ。手前が樋口社長、奥が伊原木知事

 岡山県では、第5次おかやまIT戦略プログラムの基本目標のひとつに、「災害に強い情報システム、ネットワークの構築」を掲げており、今回の協定によって、大規模な災害が発生した際の行政基盤の確保と、情報発信力を強化する狙いがある。

 また岡山県と日本マイクロソフトは2011年に、地域活性化プログラムで提携した経緯があり、こうした関係をもとに、今回の協定に至った。

 今回の協定により、日本マイクロソフトでは、岡山県域で地震や津波などの大規模災害が発生した場合、または災害が発生する恐れが生じた際に、「災害時のコミュニケーションの支援」、「情報発信の継続」、「クラウドを活用した職員の安否確認」を行う。

 「災害時のコミュニケーションの支援」では、Office365を活用し、岡山県庁や関係機関に対して、電子メール、掲示板・ポータル、Web会議などの機能を提供。緊急時の連絡手段を携帯電話だけに依存せずに、情報共有、連絡、連携を円滑に行えるようにする。

Lyncを通じたコミュニケーションを実際に体験する伊原木知事と樋口社長
クラウドサービスによる連絡連携手段
クラウドサービスによる災害情報の共有

 「情報発信の継続」では、災害時に岡山県ならびに関係機関の情報発信手段としてのWebサイトを補完するため、クラウド基盤のWindows Azureを活用したミラーサイトなどの設置、展開を支援する。

 また、「クラウドを活用した職員の安否確認」では、各種スマートフォンやPC、タブレットなどで日常的に使用できる緊急連絡サービスとして、日本デジタルオフィスのCoco-doを提供、利用できるようにし、職員の安否確認に活用するという。

 「岡山県には約4000人の職員がいるが、どういった規模で利用するかは締結後に検討していくことになる。また、平時の利用についても今後検討したい」としている。

Coco-doの利用イメージ
Coco-doのグループビューの利用イメージ

 岡山県の伊原木知事は「岡山県は、1000年以上に渡って大地震が起きていないなど、歴史的に大規模災害が少ない地域。活断層が見つかっておらず、台風についても中国山地、四国山地によって守られている地域であり、大変住みやすい。だが、これからも災害がゼロということはない。もし、災害が起きたときに対応できなれけば、立地の優位さを発揮することにはつながらない。東日本大震災を通じてインフラが切れないことが大変重要であることをわれわれは学んだ。岡山県自らも着々と災害対策に関して整備を進めることになるが、この協定によって、日本マイクロソフトのノウハウや技術を活用でき、県民の安全、安心が図られる。今回の協定締結を大変うれしく思う」と語った。

 一方、日本マイクロソフトの樋口社長は、「東日本大震災以降、日本マイクロソフトのICTサービスを提供し、各種災害ポータルサイトや文科省の放射線モニタリングサイトの構築、Webにアクセスが殺到した際にダウンさせないためのミラーサイトの構築などの支援を提供してきた。今回の協定は、今後の災害に対応する形でアクションを起こすという点で、これまでとは違うものである。クラウドは災害対策として有効に機能することが証明されている。情報基盤の構築はわれわれが得意するところであり、今回は、それを生かして、ポータル、クラウド、情報共有と広範囲にわたって協力するものになる。日本マイクロソフトが実践してきたテレワークのノウハウも活用できるだろう」などと話している。

岡山県の伊原木隆太知事
日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏

 なお日本マイクロソフトでは、今回の協定での実績をもとに、ITを活用した防災、減災計画の策定を目指す地方公共団体に対して、同種の支援策の提供を推進し、災害に強い行政サービス構築に寄与することを目指すとのこと。

(大河原 克行)