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MM総研、ビジネスクラウド総合評価調査を発表~NTT ComのBizホスティングが最高評価

 株式会社MM総研は19日、ビジネスクラウド総合評価調査の結果を発表した。これによると、最高水準のAAAサービスには6社が選定され、総合評価の第1位にはNTTコミュニケーションズ(NTT Com)の「Bizホスティング」が選ばれた。

IaaS/PaaSの主要30社のサービスを調査

 同調査は、IaaSおよびPaaSによるクラウドサービスを提供する主要30社のサービスを対象に、2013年1月~2月上旬に実施。「基本機能」、「サービス実装」、「ネットワーク」、「信頼性」、「運用サポート」、「料金体系」の6分野43項目を、AAAからAA、A、B、Cの5段階で評価した。AAAでは「最高水準に項目基準を満たしており、大変優れた価値が認められる」、AAでは「項目基準を高く満たしており、優れた価値が認められる」と位置づけた。

 また詳細項目では、重要度を加味した上でポイント化。重要度の算出にあたっては、企業でクラウドサービスの選定にかかわる343人を対象にしたアンケートをもとに実施し、「データバックアップの機能」、「十分な脆弱性対策」、「最小構成価格」、「災害発生時のバックアップなどのBCP対策」、「サービスの操作性」などを重要度の高い項目に選定した。さらに有識者による審査委員会の検討を経て、総合的なランキングを評価したという。

 MM総研 所長であり、データセンター促進協議会副会長を務める中島洋氏は、「重要な情報システムを、クラウド事業者にアウトソースする企業が増加している。それにあわせて、ビジネスのインフラとして十分な機能を備えているのかどうかを評価する必要が高まってきた。今回の調査は、主要なクラウドサービスは企業の要求にどこまで応えているか、という観点から総合評価を試みた」と、調査の狙いを語る。

 企業の情報システム基盤や災害時に継続運用できる社会基盤に適したサービスを選定する新たな視点で、クラウドサービスの実力を客観的に評価することを目的とし、本格的な普及期を迎えるクラウドサービスの適切な理解のために実施したと位置づける。

最高水準「AAA」の格付けに6社

 総合評価における最高水準の格付けとなるAAA(80点以上)を獲得したのは、NTT Comの「Bizホスティング」、日本IBMの「IBM SmarterCloud」、富士通の「FGCP/S5」、NECビッグローブの「BIGLOBEクラウドホスティング」、GMOクラウドの「GMOクラウド Public/IQcloud」、KVHの「KVH IaaS」の6つのサービス。

 NTT Comの「Bizホスティング」は、基本機能、サービス実装、ネットワーク、信頼性、運用サポートの5分野で最も高い評価となり、総合評価100点満点中94.6点となった。

 また、日本IBMの「IBM SmarterCloud」は、評価対象の6分野において幅広く高評価を獲得し、総合評価は88.9点、3位は富士通の「FGCP/S5」は86.5点を獲得。4位以下は、NECビッグローブの「BIGLOBEクラウドホスティング」が84.2点、GMOクラウドの「GMOクラウドPublic/IQcloud」が83.7点、KVHの「KVH IaaS」が82.6点になった。

 「企業向けに高信頼なサービスを提供する事業者が目立つ結果となった」という。

順位企業名(サービス名)総合評価基本機能サービス実装ネットワーク信頼性運用サポート料金体系
1NTT Com Bizホスティング94.6AAAAAAAAAAAAAAAAA
2IBM SmarterCloud88.9AAAAAAAAAAAAAAAAA
3富士通 FGCP/S586.5AAAAAAAAAAAAAAA
4BIGLOBEクラウドホスティング84.2AAAAAAAAAAAAAAA
5GMOクラウドPublic / IQcloud83.7AAAAAAAAAAAAAA
6KVH IaaS82.6AAAAAAAAAAAAAA

【お詫びと訂正】
初出時、表の「運用サポート」が「運用」と「サポート」に分割されて、同じ評価を二つ掲載してしまっておりました。お詫びして訂正いたします。

短期間にサービスを充実させる企業が増加

 同社では、今回の調査結果として、評価分野別の状況を公表している。

 「基本機能」に関しては、サービスの操作性や即時性、CPUなどのリソースの多様さおよび豊富さなど8項目を評価。NTT Com、NECビッグローブ、KVHの3社が最も高い評価になったという。

 また「サービス実装」では、ファイアウォールやオートスケール機能など12項目について、クラウドサービスの利便性を高める付加サービスのメニューやバリエーションを評価。NTT Comと日本IBMの2社が最も高い評価になった。さらに、「ネットワーク」では、クラウドサービスを利用する上で欠かせない、ネットワーク機能やバックボーン容量などの7項目を評価。NTT Comが最も高い評価を獲得した。

 「信頼性」については、データバックアップやSLA、BCP対策など6項目を評価。NTT Com、富士通、GMOクラウド、NECの4社が最も高い評価となった。

 「運用サポート」では、サポート体制やカスタマーポータル、マネジメントサービスなどの6項目を評価し、NTT Com、富士通、NECビッグローブの3社が最も高い評価を獲得。

 最後の「料金体系」では、課金方式や最小構成価格、支払い方法などの4項目を評価し、日本マイクロソフトが最も高い評価になったという。

 MM総研の中島所長は、「今回の調査結果は、短期間のうちに、各ベンダーがサービスを急速に充実させている実態が明らかになった。当初、米国発で水を空けられた感があったクラウドサービスも、ビジネス分野に重点が移っており、日本ベンダーのサービスの充実は目を見張るものがある」とコメント。

 さくらインターネット、ニフティ、IIJ、IDCフロンティアといった、今回の評価ではAA以下となった各社クラウドサービスにおいても、機能やサービスの充実化や改善が急速に進みつつあり、今後の調査でランキング変動の可能性は高いと予測している。

 なお、今回調査対象とした30社は以下の通り。

 アマゾンデータサービス(AWS日本法人)、GMOクラウド、Google、IDCフロンティア、IIJ、ITコア、KDDI、KVH、NEC、NECビッグローブ、NTT Com、NTTコムウェア、NTTデータ、SCSK、TIS、伊藤忠テクノソリューションズ、さくらインターネット、新日鉄住金ソリューションズ、ソフトバンクテレコム、電通国際情報サービス、ニフティ、日本HP、日本IBM、日本ユニシス、日立システムズ、日立製作所、富士通、フュージョン・コミュニケーションズ、フリービット、日本マイクロソフト。

 同社では、今後も継続的にビジネスクラウド総合評価調査を実施していく予定だとしている。

(大河原 克行)