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マイクロソフト、System Center/Windows Intuneの製品戦略を説明
急成長するクラウド・仮想化システム管理市場
(2013/1/21 14:55)
日本マイクロソフトは、企業のPCやサーバー、クラウド環境などを管理するシステム管理製品として、「Microsoft System Center 2012 Service Pack 1」および「Windows Intune」の最新版を、2013年1月1日から出荷を開始したのにあわせて、同製品の特徴や販売施策などについて説明した。
System Center 2012 Service Pack 1は、Windows Server 2012とともに使用することで、データセンターの構成要素を個別に管理する手法から、ネットワーク、ストレージ、サーバーを含む、リソースを包括的に提供する手法へと移行することができるのが特徴。また、マルチテナンシー、SDN、ストレージ仮想化などのクラウド基盤機能を組み込んでいることから、自動化したハイブリッド環境における利用が、すぐにできるようになるという。
さらに管理者は、必要に応じて仮想マシンをWindows Azure上に移動し、System Center 2012 Service Pack 1で管理できるほか、Windows AzureベースのサービスであるGlobal Services Monitorをサポートし、自社ウェブアプリケーションに対するウェブテストを実行できる。
また、System Center 2012 Configuration SP1と、Windows Intuneにより、多様なPCやモバイルデバイスを集中的に管理でき、管理者はひとつの管理コンソールから、従業員の所属やデバイスの種類、場所を問わずにアプリケーションやデータを安全かつ生産的に利用できるようになり、BYODの課題も解決できるという。
日本マイクロソフトの高添修エバンジェリストは、「Microsoft System Center 2012 Service Pack 1は、クラウドの流れに則り、Windows Server 2012に完全対応。ハイブリッドクラウドでの運用にも柔軟に対応できる点が特徴。そして、PCおよびモバイル管理の拡大により、コンシューマライゼーションや、BYODの流れにも準拠したものになる」とした。
Microsoft System Center 2012 Service Pack 1は、1台の物理サーバー上で2つまでのOSEを管理できる同Standardと、1台の物理サーバー上で無制限のOSEを管理できる同Datacenterの2つの製品を用意。Standardの価格は1ライセンス18万8100円、同Datacenterは51万2400円。
System Center 2012 Service Pack 1とWindows Server 2012のスイート製品も用意しており、Enrollment for Core Infrastructure(ECI)では最低購入単位が25ライセンスで20%のディスカウントとし、Core Infrastructure Suite(CIS)では1ライセンスからの購入で、5%のディスカウントを適用する。
また、クライアント製品は、System Center 2012 Configuration Managerが9000円、同Endpoint Protectionが3276円、同Client Management Suiteが1万6200円。
価格はいずれも、Select Plus レベルAのPre OSEライセンスと3年間のソフトウェアアシュアランスの参考価格。
Windows Intuneの価格体系は、従来のデバイスライセンス方式から、ユーザーライセンス方式へと変更。1ユーザーあたり5台までの管理が可能になる。従来は、デバイスあたり月額あたり1230円となっていたが、Windows Intuneの新価格は、ユーザーあたり月額490円、Windows Intune with Windows SAは月額900円、Windows Intune Add on for Configmgr/SCEPが月額319円。
なお、Windows Intuneは、6月28日までの期間限定で、キャンペーン取り扱いパートナーからの購入の場合、月額900円を720円に割引する「Windows Intune with Windows SA 20% ディスカウントキャンペーン」を実施する。
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部長の梅田成二業務執行役員は「システム管理製品の国内市場規模は約2750億円。その多くはメインレーム系が中心であり、年間成長率は約3%増。しかし、クラウド、仮想化関連のシステム管理製品は、年間50%増という伸びをみせている。System Centerも年間50%増の成長をみせている」とした。
会見のなかでは、早期導入事例として、800以上の仮想マシンの運用管理の効率化を実現した三井物産での事例のほか、Hyper-Vのみならず、VMwareの管理、ハードウェア、アプリケーションの管理までの一元的管理を実現した日本上下水道設計、BYODの導入を契機にグループウェアを刷新し、同時にBCP対策として各種サーバーを統合した情報基盤を構築したTDCソフトウェアエンジニアリングにおけるSystemCenter 2012の導入事例を紹介した。
また、19社のソリューションプロバイダーを通じて、Microsoft System Center 2012 Service Pack 1の販売を開始することも明らかにした。
同社では、「1月以降も過去最大規模の広告展開を継続していく」としたほか、日本マイクロソフトのエンタープライズ営業本部内に、プライベートクラウド専任のセールスチームを編成。さらに、ソリューションセミナーの開催やIntuneのディスカウントキャンペーンの実施、Microsoft System Center 2012 Service Pack 1の評価版の無償提供や、評価を支援するステップバイステップガイドの提供などを行う支援策も発表した。
一方、梅田業務執行役員は、2012年9月に発売したWindows Server 2012の販売動向などについても説明した。
前バージョンとなるWindows Server 2008 R2に比べて、発売後4カ月の動向をみると、導入数では21%増、Hyper-V対応アプリケーション数では24%増、パートナーのエンジニアに対するトレーニング数では41%増、評価版のダウンロードでは4倍となる318%増になったという。
「評価版のダウンロードが多いのは、Windows Server 2012では、仮想化に関す機能強化が大幅に図られたことや、BCPへの対応など、従来のサーバーOSに比べて、わかりやすい機能が搭載されたことが理由ではないか」と自己分析した。
また、Hyper-Vが、3四半期連続でVMwareのシェアを超えている実績を示しながら、「これまではひとつの仮想化技術ですべてに適用したいという要望が強かったが、ここにきて、ユーザーの学習が進み、アプリケーションにあわせて仮想化技術を選ぶという傾向が強く、Windows環境ではHyper-Vを選択するケースが圧倒的に多い。また、これまでは仮想化するという目的のもとに仮想化技術を導入する例が多かったが、ここにきて目的を達成するために結果として仮想化を導入するといった例が増加している」などとした。
国内サーバー市場は約250万台と見られており、そのうち約8割がWindows Server。そのうち約6割がWindows Server 2008および同R2だという。