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京大が事業継続性を向上、サーバー仮想化・BCPを富士通が支援

 国立大学法人京都大学(京大)は、汎用サーバーシステムの事業継続性強化とICT投資の最適化に向け、サーバー128台を仮想化して学内にプライベートクラウドを構築し、2012年12月28日に本格稼働を開始した。構築を支援したのは富士通株式会社。今後は、同社の東日本地区データセンター内にBCPサイトを構築する予定。

 京大は、全額の情報基盤に関する企画・整備・管理・運用、情報基盤に基づく多様な利用サービスの提供、高度かつ安全な情報環境の構築・提供、高度な情報技術、情報活用能力を備えた人材の育成を目的に、2005年に情報環境機構を設置した。

 同機構で研究・開発・教育支援サービスなどの業務を担う学術情報メディアセンターは、安定した情報発信や快適なコンテンツの送受信を行うため、ホームページや学術情報リポジトリの運用、各研究室で利用するコンテンツの共有などで利用する汎用サーバーシステムのサーバー数・処理能力・記憶容量を増強し、被災や電力不足に備えたICT環境を整備しようと検討。今回のプライベートクラウド構築に至った。

 プライベートクラウド環境では、富士通のマルチノードサーバー「PRIMERGY CX400 S1」「PRIMERGY CX250 S1」計128台で構築し、400台以上の仮想サーバー設定が可能。京大では同プライベートクラウド環境によって学内に散在するサーバーを仮想化集約し、サーバー管理の効率化と消費電力の削減を進める考え。

 これに伴い、全学の教職員メールシステムをデータセンターに構築し、運用をアウトソーシングすることで、勤務時間や学内法定点検に左右されず、24時間365日の運用を実現した。

 加えて、仮想サーバーのうち一部の重要なものについては、複製情報を京大とBCPサイトで共有することで、被災時や学内停電時でも運用を継続できるようにした。重要データについては、学内プライベートクラウド環境、BCPサイトのそれぞれにストレージシステム「ETERNUS NR1000F series」を設置し、遠隔バックアップを行っている。

 また、京大とデータセンターの間は、学術情報ネット枠SINET4を利用して、ネットワークの信頼性と利便性を向上している。

(川島 弘之)