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FJM、医療法人向け連携モジュールを提供~「GLOVIA smart きらら 会計」と「HOPE」を連携

きらら自動仕訳連携モジュールを活用した医療機関における連携図

 株式会社富士通マーケティング(FJM)は、医療法人向け財務会計システム「GLOVIA smart きらら 会計(医療法人対応版)」において、同社が提供する医事システム「HOPE/SX-R」および「HOPE/SX-J」、介護請求システム「HOPE/WINCARE-ES」とのデータ連携を行う「きらら自動仕訳モジュール」の提供を開始する。

 GLOVIA smart きらら 会計(医療法人対応版)は、パブリッククラウドによるSaaS版と、オンプレミスによるパッケージ版を用意。SaaS版では、富士通グループのデータセンター内のシステムを、医療機関内の端末からインターネット経由で利用する仕組みを提供する。税理士や会計事務所などともデータ共有が可能になるため、効率的な会計処理作業が行えるのが特徴だという。

 今回の「きらら自動仕訳モジュール」により、あらかじめ設定しておいた科目の振り分け設定に基づき、「HOPE/SX-R」および「HOPE/SX-J」、介護請求システム「HOPE/WINCARE-ES」で入力された医事や介護の会計データを編集し、「GLOVIA smart きらら 会計」に取り込むことができる。

 同社では、「経理担当者による財務会計システムへの手入力や仕訳などの処理が不要になるために大幅な効率化が図れるほか、転記やタイプミスによるミスを防止できる」としている。

 端数金額が発生するなど、確認が必要な会計データについては、実行時にチェック対象を画面に表示。また、請求ベースで売り上げとする「未収金計上するパターン」と、入金ベースで売り上げとする「未収金計上パターン」の2つの選択肢を用意。現行の経理処理運用を変更せずに、手作業からのシステム移行が可能になるという。

 また、GLOVIA smart きらら 会計(医療法人対応版)では、医療法人向けの標準科目に対応しており、病院会計準則に基づいた付属明細表を出力できるという。

 「きらら自動仕訳モジュール」は、製品ごとに分かれており、価格は各12万円。

 すでにいつくかの病院での導入が決定しており、2015年度までに中堅・中小の医療機関を対象に300セットの販売を目標にしている。

湯河原中央温泉病院の導入実績をベースに製品化

 今回投入する「きらら自動仕訳モジュール」は、2012年4月に稼働した神奈川県湯河原の財団法人生活保健協会 湯河原中央温泉病院の導入実績をもとにして製品化したものだ。

 FJMでは、保険、医療、福祉分野において長年の経験を有しており、全国の中堅・中小規模の医療機関向けに、成長型電子カルテシステムの「HOPE/SX-R」、中堅病院向けの電子カルテ「HOPE/EGMAIN-LX」などを製品化。医療情報システム(HIS)と各部門システムとの連動提案や、サービスまでを含めたワンストップソリューションを提供している。

 「医事会計システムではオフコン時代から、電子カルテでは、電子保存が可能になった1999年当初から取り組んでおり、医療の質的向上や業務改善、病院経営の効率化支援に取り組んでいる」(同社)という。

 湯河原中央温泉病院は、345床を持つ中規模長期療養型病院で、1987年から富士通の医事システムを導入。経理部門においては、入院費収納システムを構築。さらに財務会計システムを導入するなど、院内業務のIT化を進めてきた。

 だが、システム間のデータ連携時に発生する入力作業が職員の業務負担となっており、作業ミスも発生しやすくなっていたという。

 実際、患者の一部負担金処理でミスが発生すると、修正に手間取り、長時間経理業務が停止するという課題も浮上していた。

 2011年11月に入院収納システムのサーバーが老朽化したのにあわせ、経理業務の効率化と、システム運用負荷の軽減を目的に、経理課のシステムの見直しに着手。そのなかで、GLOVIA smart きらら 会計(医療法人対応版)を採用した経緯がある。

 このなかで同病院が導入していたHOPE/SX-R、HOPE/SX-JおよびHOPE/WINCARE-ESと、GLOVIA smart きらら 会計(医療法人対応版)とを連携。今回の製品は、その成果を横展開するものになる。

 湯河原中央温泉病院では、これにより、医事課で行っていた未収入金時の振替伝票の作成作業や、経理課で行っていた入院費収納システム、財務会計システムへのデータ入力を不要にし、会計処理の時間短縮および効率化を達成。未収入金対策にも効果を発揮したという。

 さらに、イレギュラーパターンも含めた仕訳ルールの全体像が明確になり、新病院会計準則への対応にも取り組むことができたとのこと。

 加えて、GLOVIA smart きらら 会計(医療法人対応版)を採用したことで、システムに精通していなくても、一般的な経理知識を持つスタッフであれば業務を遂行できるというメリットも享受できたそうだ。

 湯河原中央温泉病院では、2013年度以降には、新病院会計準則対応の本格運用に向けて、仕訳の体系整理に着手するほか、給与業務システムとの連携に取り組む考えを示しており、患者サービスの向上や病院経営の効率化に向けた医療職員の最適配置などにも取り組む考えを示している。

(大河原 克行)