富士通のリテールビジネス、グローバル展開やビッグデータ活用など3分野に注力


リテールビジネスにおける重点取り組み分野
富士通 民需ビジネス推進本部 流通ビジネスソリューション推進統括部 シニアディレクターの滝口勉氏

 富士通株式会社は28日、リテールビジネスに関する記者向けの説明会を開催。「グローバル展開」「本部・店舗運営効率化」「顧客維持・拡大」を3つの柱としてリテール企業を支援すると説明した。

 このうち「グローバル展開」については、ワールドワイドで統一されたPOSの新製品「TeamPOS 7000シリーズ」を投入。その運用などのサービスの部分までを富士通が請け負えるようにするほか、日系企業の海外進出を、グローバル拠点と連携して支援する体制を整える。

 富士通 民需ビジネス推進本部 流通ビジネスソリューション推進統括部 シニアディレクターの滝口勉氏は、「日本のシステムを海外へ持って行きたいという要望もあるので、そうした面を含めたお手伝いをする。また当社は、国内・アジアを含めて60カ所のデータセンターを持っており、近いところでのお手伝いができる。共通POSシステムとそのサポート、展開を含めてオール富士通で支援可能だ」と述べている。

 また2つ目の「本部・店舗運営効率化」では、北海道の大手スーパーチェーンであるアークスでの基幹システム構築を引き合いに出し、ここで培ったノウハウをパッケージ化して、量販点向けの次世代基幹システムとしてリリースするとした。この特徴は、誰でも使える簡単な発注端末と、精度の高い自動発注システムで、最適な発注による適正在庫の実現を目指す。

 さらに富士通では、「業務プロセスの見える化を導入前に行う」(滝口氏)ことを他社との差別化として打ち出してきたという。これを実現するために、フィールドイノベーターによって顧客企業の業務を分析し、その企業と一緒に改善ポイントを確認した上でシステムを構築するとのことで、「ソリューション+見える化活動が軸になる」とした。


グローバル展開では、POS関連のサービスビジネスにも注力する業務の見える化にも力を入れるという

 最後の「顧客維持・拡大」では、ビッグデータの活用による、新たな切り口での消費者アプローチを実現する。その例として滝口氏は「(行動・ライフスタイルを加味した)さまざまな分析により、カロリーを気にする人、アウトドア指向の人などのセグメントが生まれ、そこへのターゲティングを行えるようになる。TwitterやGPSの位置情報など新たな情報が付与されてくれば、新たな指向がつかめるのではないか。プライバシー面もあるのでやっていいかどうかは別にして、例えば、Suicaなどの交通情報をひも付ければ、どこを通ってどれを買ったか、といった分析も可能になる」と説明。

 こうしたビッグデータを活用した新たなプロファイリングによって、より最適なオファリングが消費者に可能になるため、ここにも力を入れていくとした。

 「消費行動の中で情報をとらえていく企業が生き残り、成長するだろう。ビッグデータをきちんととらえて、お客さまごとに対応する手法が一番注目を浴びており、ここに対して当社では力を入れていく。この、新たな消費行動に対するビッグデータと、基幹システムの刷新の両分野に注力していきたい」(富士通 執行役員常務 流通ソリューションビジネスグループ長の下島文明氏)。


ビッグデータの積極的な活用を目指す富士通 執行役員常務 流通ソリューションビジネスグループ長の下島文明氏
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(石井 一志)
2012/2/29 06:00