日本オラクル、アプリケーション戦略と「Oracle Fusion Applications 11g」の概要を説明


米OracleのFusion Applications プロダクトマネジメント担当バイスプレジデント、ダグ・ヒューズ氏

 日本オラクル株式会社は15日、次世代業務アプリケーション製品「Oracle Fusion Applications」に関する説明会を開催し、米OracleのFusion Applications プロダクトマネジメント担当 バイスプレジデントのダグ・ヒューズ氏が、同社のアプリケーション戦略および「Oracle OpenWorld 2011」で発表された「Oracle Fusion Applications 11g」の概要について説明した。

 まずヒューズ氏は、「現在、企業では膨大に蓄積される情報をいかにビジネスに活用していくかが課題となっている。また、モバイル端末が急速に普及し、インターネット以上にモバイルネットワークが活用されるなど、コミュケーションの主流になりつつある。さらに、クラウド化への流れも加速しており、従来のように、ハードウェアを所有することにとらわれなくなってきた」と、ビジネス環境が大きく変化していることを説明。「こうしたビジネス環境の変化に対応し、企業を成長させていくためには、継続的に生産性の向上を図っていく必要がある。そして、生産性を向上させるには、イノベーションが不可欠になる」と指摘する。

 「企業に生産性向上とイノベーションをもたらす重要なカギになるのがERPである。しかし、現在のERPは、その本来の目的を実現できていないのが実情。なぜならば、事業部門ごとに個別最適化されたERPパッケージが導入されてきたからだ。これでは、ビジネス環境の変化のスピードについていけず、企業から求められる生産性向上およびイノベーションへの要件に応えることはできない」と、従来型のERPパッケージ製品では、ビジネス環境の変化に対応していくことは難しいとの考えを示す。

完全なソリューションを提供するオラクルのアプリケーション戦略

 こうした市場背景の中、オラクルのアプリケーション戦略では、エンタープライズ・アプリケーションから産業別アプリケーション、さらにはアプリケーション・プラットフォームまで、企業の生産性向上とイノベーションを実現する完全なソリューションを展開。ライフタイム・サポート、Applications Unlimited、既存資産との共存といったポリシーにより、次世代の技術を取り入れながら、将来も安心して使い続けられるアプリケーションを提供している。「今回、このアプリケーション戦略をベースにした次世代業務アプリケーション製品として、『Oracle Fusion Applications 11g』をリリースした。すでに、世界で多くの企業に導入が進んでおり、導入に向けて現在検証を行っている企業もかなりの数にのぼっている」という。

 「Oracle Fusion Applications 11g」の特徴についてヒューズ氏は、(1)完全なスイート、(2)幅広い機能を提供、(3)構成と拡張が容易--の3点を挙げる。「『Oracle Fusion Applications 11g』は、最初のリリースで100種類以上のFusionモジュールをそろえており、幅広い機能をユーザーに提供している。また、構成と拡張性については、『コンポーザ』と呼ばれるオープンベースの拡張ツールを用意。これにより、個別にコード開発をすることなく、IT部門やエンドユーザーが役割に応じた機能変更を容易に行えるようにした。この変更はメタデータレイヤーで適用されるため、アップグレードにも影響することがない」としている。


組み込み型のソーシャル機能組み込み型のビジネス・インテリジェンス機能

 また、ヒューズ氏は、「Oracle Fusion Applications 11g」を活用することで革新的なワークスタイルが実現できることをアピール。「ユーザーが『今何をするべきか』、『何を知るべきか』、『どのように実現するべきか』、『誰をサポートできるのか』といった情報を画面上に一元化して提供し、完全なユーザー体験を実現する。また、組み込み型のソーシャル機能『Network at Work』によって、ファイアウォールの内部に社内コラボレーションネットワークを構築できる。これに加えて、BI(ビジネス・インテリジェンス)機能も組み込まれており、ダッシュボードやリアルタイム最適化といった機能により迅速な意志決定を支援する。さらに当社は、これらの機能があらゆるモバイル端末で動作することをコミットしている」と述べた。

 「Oracle Fusion Applications 11g」は、従来のオラクル製品との共存ソリューションとして構成されており、既存資産を生かしながら、その拡張機能として導入できる点も特徴だという。「例えば、CIOは業務部門と対話をして、システムの問題点を洗い出し、機能している部分はそのままに、問題点をピンポイントで解決することが可能になる」としている。

 最後にヒューズ氏は、今後の展開について、「『Oracle Fusion Applications 11g』のリリースを機に、オラクル・アプリケーションの最新リリースへのアップグレード、およびオラクルの技術とシステムを用いたパフォーマンスの最適化、そして共存機会を活用したビジネス価値の拡張を推奨していく」との方針を示した。

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(唐沢 正和)
2011/12/16 06:00