サンブリッジ、米国のベンチャー2社と協業~クラウドセキュリティ事業を推進

暗号化によるデータ保護とID統合認証を提供


サンブリッジ 代表取締役会長兼CEOのアレン・マイナー氏
さまざまなクラウドサービスが存在する上、デバイスも多岐にわたっているため、クラウドでのセキュリティは管理しづらいという

 株式会社サンブリッジは12日、米CipherCloud、ならびに米SecureAuthと業務提携すると発表した。CipherCloudはクラウドに対するデータ保護ソリューションを、SecureAuthは統合認証ソリューションを提供する企業で、サンブリッジではこの提携によって、クラウドセキュリティ事業に本格的に取り組むという。

 一般には、ベンチャー企業の支援で知られてきたサンブリッジだが、同社ではクラウド・コンピューティングという言葉がまだなかった2000年に、salesforce.comを国内へ展開するなど、世界のクラウドサービスを日本へ紹介してきたように、クラウドサービスには以前から取り組んできた実績がある。そのクラウドサービスは国内でも導入が進みつつあり、今後も成長が見込まれているものの、その導入にあたって、もっとも大きな問題として取り上げられるのが、セキュリティについての懸念だという。

 ただしクラウドベンダー側でもそうしたことは十分に理解しており、セキュリティへの懸念を払しょくするために、さまざまな取り組みや投資を行って厳格なデータ管理をしているのが普通で、サンブリッジ 代表取締役会長兼CEOのアレン・マイナー氏も、「セキュリティについては、一般企業と比べて、クラウドベンダーの方が万全な体制をとっているのは事実」と話す。

 しかしその上で、「何か事件があっても、自分たちは何もできないのではないかという思いから、ユーザーにとっては、(データが)自分たちのコントロール外にあるのは不安だと感じている」という点を指摘し、クラウドサービスのより積極的な活用のためには、ユーザーの不安を払しょくする必要があると強調。そのために、米国のベンチャー企業2社と提携して、国内でのクラウド向けセキュリティ事業を積極的に展開するとした。

CipherCloudのプラヴィン・カサリCEO

 提携企業のうちCipherCloudは、salesforce.comやAmazon Web Servicesといったクラウドサービスで利用する上で、社内にある顧客情報などの重要な情報を暗号化することにより、第三者への漏えいによる被害を防ぐ「CipherCloud」を提供している。暗号化によって、情報流出に備えるというわけだ。

 実際のソリューションとしては、ユーザーとクラウドの間に暗号化ゲートウェイとして配置され、自社のネットワークからデータがクラウドに出る前に暗号化が行われる仕組みで、CipherCloudのプラヴィン・カサリCEOは、「データは暗号化された上でクラウドに保存されるのが、ユーザビリティやパフォーマンスにはまったく影響しないし、一番重要なのは自分たちのネットワークの中で暗号鍵を管理できる点だ」と、自社ソリューションの特徴を説明した。


ユーザーとクラウドの間に暗号化ゲートウェイを設け、クラウドへ出るデータをすべて暗号化した上で、自社が暗号鍵を管理できるという米国の銀行への導入事例
SecureAuthのクレイグ・ランドCEO

 一方のSecureAuthは、クラウドサービスとオンプレミス型などの社内システム双方をカバーする、統合認証ソリューション「SecureAuth」を提供している企業。SecureAuthを用いると、ワンタイムパスワードによる二要素認証を用いたセキュアなログインを可能にするほか、各種クラウドサービスと社内システムに対するシングルサインオン機能も提供できる。

 SecureAuthのクレイグ・ランドCEOは、不正アクセスの大半がIDの不正利用によるもので、IDの保護が喫緊の課題であり、それを防ぐためには二要素認証が重要である点を指摘。「クラウドアプリケーションは数が増えているし、自社のアプリケーションもさまざまなあり、それらすべてに二要素認証を導入するのが難しい。しかしSecureAuthを使えば、さまざまなアプリケーションへ、しかも容易に二要素認証を導入できる」と述べた。これを実証するように、すでに米国政府機関やJetStar/カンタス航空など、さまざまな事例を公開しているという。


二要素認証とシングルサインオンによって、セキュアな統合認証環境を提供JetStar/カンタス航空への導入事例

 なおCipherCloud、SecureAuthともにさまざまな導入形態が可能だが、VMware環境などを利用した仮想アプライアンスを、企業社内へ導入する形式が一般的とのこと。サンブリッジでは、2社のソリューションについて、2012年3月の提供開始を予定する。

 「従来、起業ではセキュリティに不満を抱えながらも、それに目をつぶってクラウドを導入してきた。しかし、当社が提供するソリューションを利用すれば、もう不満を抱えながらの導入はしなくていい。クラウドセキュリティを提供する米国の十数社を調べた中では、もっともユニークな、先進的なソリューションを持っている2社と日本で提携できることを喜ばしく思っている。この両者は、日本だけでなく、世界のクラウドユーザーに欠かせない企業になると確信している」(サンブリッジのマイナーCEO)。

関連情報
(石井 一志)
2011/12/13 00:00