日本HP、TPMチップ搭載で6万9300円の法人向けスレートPC「HP Slate 2 Tablet PC」


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は11月29日、Windows 7 Professionalを搭載した法人向けスレートPC「HP Slate 2 Tablet PC」(以下HP Slate 2)を発表。HPの直販サイトHP Directplus、HP Directコールセンター、日本HP販売代理店、HP Directpartnerで、1月上旬から販売を開始する。価格はWiFiモデルが6万9300円、WiFi+3Gモデルが7万2450円。


WiFiモデルは6万9300円。“片手で操作できる”重量690gのスレートPC

 

「HP Slate 2 Tablet PC」。1月上旬販売開始、価格はWiFiモデルが6万9300円

 HP Slate 2は、操作はフリックやズームなどのタッチ操作とペン入力の両方に対応し、標準でデジタルペンが付属する。キーボードがないため、「CTRL+ALT+Del」操作には専用ボタンを装備したほか、デスクトップ画面にワンタッチで戻れるHOMEボタンも装備した。

 企業向けということで、セキュリティ面も強化。TPMセキュリティチップを搭載したほか、ソフトウェアキーボードでBIOSレベルのパスワード設定が可能な機能も備えた。また、「Embedded Security for HP ProtectTools」を搭載し、盗難にあった際に、無線LANなどでネットワークにつながった場合に、インターネット環境を通じて信号を送信。ユーザーが遠隔操作でSlate2に入っているデータのロック・消去などが行える。

 通信機能については、WiFiモデルとWiFi+3Gモデルの2モデルをラインナップした。無線LANはIEEE 802.11a/b/g/nに対応する。OSはWindows 7 Professional(32bit、SP1適用済み)を採用した。そのほか、専用端末への組み込み用にWindows Enbedded Standard 7搭載モデルも用意する。

 自席でHP Slate 2を使用する際により豊富な外部インターフェイスを利用できる、「HP Slate ドッキングステーション(6300円)」をオプションで用意した。有線LANに接続するための「HP USB Ethernetアダプター(2310円)」もオプションで利用できる。


BIOSレベルでパスワードをかけられる。パスワード入力はソフトキーボードで「HP Slate ドッキングステーション(6300円)」に載せたところデジタルペンが標準添付される。カバーは簡易スタンドとしても利用可能
本体向かって左の側面に、デスクトップ画面に戻るHOMUボタン(左)と、「Ctrl+Alt+Del」キーを装備本体向かって右の側面にある電源スイッチ。ロックポジションがある昔のノートで本体から飛び出すマウスがあったが、これはライセンスを貼るための引き出しとのこと

 主な仕様は、CPUにインテル Atom Z670 (512KB L2キャッシュ、1.5GHz)、2GBメモリ、64GB SSDを搭載。ビデオメモリはメインメモリと共有で最大815MB。

 デジタイザーを内蔵したマルチタッチ液晶はLEDバックライト付8.9インチ液晶(1024×600ピクセル)を採用。内側にVGA、外側に3メガピクセルのWebカメラを内蔵した。インターフェイスはマイク入力/ヘッドフォン出力コンボポート×1、内蔵マイク×1、電源/拡張コネクター6、USB2.0ポート×1を装備。Bluetoothは4.0+HSに対応する。SD カードスロット1基を搭載する。ステレオスピーカーとマイクを内蔵。デジタルペンが付属する。

 WiFi+3Gモデルでは、GSM、GPRS、WCDMAなどの3G通信に対応する。DVDなどの光学ドライブおよびネットワークコントローラーはオプションとなる。外部ディスプレイポートとして、オプションのドッキングステーション接続時にHDMIポートが利用可能となる。

 消費電力は通常時約10W/最大約30Wで、バッテリー駆動時間は標準バッテリーで最大約6.7 時間。標準バッテリーは2セル、30Whrのリチウムポリマーで、充電時間は電源オフ時で約2.5時間、電源オン時は約3~5時間。ACアダプターの動作電圧は100~240 VAC。

 サイズは234×150×15mm(横×縦×厚)、重量690g。


既存資産活用でWindows OS採用、690gは“片手で操作できる重さ”

日本ヒューレット・パッカード株式会社 PSG製品統括本部 コマーシャルビジネス本部 モバイルビジネス部 村上信武氏

 日本ヒューレット・パッカード株式会社 PSG製品統括本部 コマーシャルビジネス本部 モバイルビジネス部 村上信武氏は「HP Slate 2」発売の背景として、「企業利用においては、長期継続性のある製品の選択と、企業利用における多くの実績あるものが必要」だと指摘、「そうなると、OSにはWindows 7が最適なのではないか」ということで、Windows OS採用を決めたと述べた。

 また、HPとしては今回のHP Slate 2が日本市場にはじめて投入するスレートPCとなるが、HPとしては2001年のiPaq H3630から10年間にわたってタッチパネル操作に対応したモバイルデバイスやPCを手掛けてきており、ユーザビリティなどの研究開発を継続して行ってきたことを紹介し、実績を強調した。

 また村上氏は、ビジネス向けのスマートデバイスに求められる機能として(1)投資の保護、(2)セキュリティ、(3)ユーザビリティの3つを上げた。HP Slate 2では、(1)投資の保護については、Windows 7 Professional またはWindows Enbedded Standard 7搭載で、マイクロソフトの既存IT基盤を活用可能とした。また、(2)セキュリティに関しては、BIOSパスワード、TPMセキュリティチップによる暗号化、遠隔データ消去機能を搭載。(3)ユーザビリティについては、8.9インチ液晶を採用したことで重量を690gに抑え、片手で操作できる重さにしたほか、マルチタッチによる操作やペン入力にも対応したことを上げた。

 販売体制については、「社内にスレートPCのソリューション営業チームを設立し、スレートPCの案件を支援する。また、顧客への提案については、マイクロソフトの協力を得て、業務利用のデモアプリケーションをセットした顧客提案用のデモ機材を用意する」ほか、販売パートナー向けの展示会を全国7カ所で実施し、展示とデモを行うとした。

HPはユーザビリティを高めるデバイスに継続投資してきたHP Slate 2のサイズと重量HP Slate 2の特長


マイクロソフト森氏「トレーニングコストも含めて導入しやすい点が最大の特長」

日本マイクロソフト株式会社 Windows本部 エグゼクティブプロダクトマネージャ 森 洋孝氏

 発表会には、日本マイクロソフト株式会社 Windows本部 エグゼクティブプロダクトマネージャの森 洋孝氏が出席。HPのスレートPCに寄せるマイクロソフトの期待の大きさをうかがわせた。

 森氏は、「ワークライフバランスを考慮した形での在宅勤務など、ワークスタイルも多様化しつつある。テクノロジー面ではクラウドとモバイル端末を組み合わせて使うといったソリューションが増え、デバイスもここ数年で急激に進化。スマートフォンをはじめとするモバイルデバイスに注目が集まっている」と近年の状況を説明。その中で、「スレートPCは、既存のPCのコンパニオンデバイスとして活用されていくのではないかと考えている」と述べた。

 森氏は、利用者との親和性、既存資産の有効活用、セキュリティ、デバイス管理の4点が企業が考えるべきデバイス導入のポイントだとした。業務でのおもな用途としては、商談、医療、ビデオ会議、サービス、教育、店舗などを上げた。

 Windows 7の文字認識を使って住所を入力するデモも行い、百貨店などではお歳暮のデータなどは利用客に紙で記入してもらったものをデータ化するのに1枚50円程度のコストがかかっており、大きな百貨点では数千万円のコスト負担になると説明。スレートPCなら、顧客に直接住所を入力してもらうことができると説明。

 Windows OS採用のメリットとして、「トレーニングコストなどからも非常に導入しやすいことが最大のメリット」とコメント。Windows OS搭載スレートPCなら業務用ソフトなども含め、既存資産がそのまま活用できる点を強調した。

Windows PhoneのメトロインターフェイスをWindows 8で採用するなど、マイクロソフトでは自然なUIへの対応を推進スレートPCの活用場面Windows 7の文字認識を使って手書きで住所を入力する


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(工藤 ひろえ)
2011/11/30 00:00