東芝Sol、スマホを使ったオンライン生体認証ソリューションを開発


 東芝ソリューション株式会社は8日、同社が開発したオープンなネットワーク上で安全な生体認証を可能にする技術と、ユニバーサルロボット株式会社のスマートフォンで動作する手首静脈認証ソフトを組み合わせた、オンライン生体認証ソリューション開発したと発表した。スマートフォン上で手首静脈認証を行うだけで、生体認証をネットワーク上に流すことなく、ネットワークを介したサービスで安全かつ確実に利用者を認証できるという。

 東芝ソリューションは、インターネットなどのオープンなネットワーク上で安全な生体認証を可能にする技術を開発してきた。2009年5月にはISO/IEC 24761「生体認証のための認証コンテキスト ACBio(Authentication Context for Biometrics)」として規格化されている。

 ACBioは、生体認証が正しく実行されたことを示すデータ構造規格であり、任意の生体認証技術と組み合わせることで、オープンなネットワーク上で生体認証が利用される場合のプライバシーやセキュリティの課題を解消し、利便性と確実な本人認証を実現できるのが特長という。

 一方、銀行のATMなどで利用されている従来の静脈認証では、静脈を検出するための赤外線を用いた専用装置が必要だった。これに対して、ユニバーサルロボットの静脈認証ソフトは自然光を利用した独自の手首静脈検出アルゴリズムを搭載することで、スマートフォンの標準カメラを用いた静脈認証を実現している。

 両者を組み合わせたオンライン生体認証により、スマートフォンさえあれば、いつでもどこでもネットバンキング・ATMなどの決済認証から国民IDなどの政府系ID認証まで、安全な認証が可能になるという。

 具体的な認証手順は、(1)PCブラウザからインターネット上のサービスにアクセス、(2)サービスから認証要求、(3)スマートフォン上で手首静脈認証を実行。同時にACBio準拠の生体認証実行に関する証拠データが生成され、PCに送られる。(4)ACBio準拠のデータはPCを経由して業務認証サーバーへ送信。(5)業務認証サーバーがACBio準拠データを検証し、ユーザーを認証。(6)利用者のPCにサービスが提供される。

スマートフォンでの手首静脈認証とACBioを組み合わせたインターネット利用者認証

 東芝ソリューションでは、同ソリューションを搭載したスマートフォンの個人の生体認証デバイスとしての可能性を追求し、2012年度上半期にACBio準拠のオンライン生体認証ソリューションを国内外の顧客へ提案するとしている。

 また、11月10日・11日にホテル グランパシフィック LE DAIBAで開催される東芝ソリューションフェア2011にて、手首静脈認証を使った世界初のACBio準拠プロトタイプシステムを公開する予定。

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(川島 弘之)
2011/11/8 12:06