法政大学、日立のクラウドソリューションで学内クラウド環境を実現

仮想化技術によりサーバー台数の50%削減と柔軟なリソースの割り当てを実現


 学校法人法政大学と株式会社日立製作所(以下、日立)は7日、事務基幹システムと教務システムの基盤「新情報システム」を刷新し、学内クラウド環境を実現する新システム基盤「情報システム2011」を構築したと発表した。すでに稼働を開始している。

 2007年から稼働を開始した前世代の「新情報システム」では、SOAによるシステム設計を行い、複数システムの相互接続に要するセキュリティや運用などの共通ポリシーに基づき、システム間のデータ連携を実現するWebサービス連携基盤を構築していた。また、これらの情報システムの全体最適化を推進するのとともに、新しい教務用のアプリケーションを提供するなど、学生の利便性向上を実現してきたという。なお、教務システムとしては、日立の大学向け学務情報システム「UNIPROVE/AS」を採用している。

 今回構築された「新情報システム2011」は、「新情報システム」での最適化を一歩進めて仮想技術を適用し、事務基盤サーバーを統合するなどして、サーバーやストレージの台数を約50%削減。また、業務処理量に応じたITリソースの動的割り当てに対応したのも大きな特徴で、システムの投資効率と柔軟性を向上した。

 こうした機能により、大学院を含めると約3万人の全学生からアクセスが集中する、Web履修登録期間や成績公開時にも、必要な教務システムのサーバーに十分なリソースを割り当てられるようになったため、レスポンスタイムの低下を防げるとのこと。また年度末の大量処理が必要な際は、バッチ処理用に割り当てるといった運用も可能になったほか、新サービスを追加する際は、業務開発環境をより短時間で作成し、仮想イメージを本番環境に移行するだけでサービスを開始できるようになった。

 「情報システム2011」の基盤としては、日立のクラウドソリューション「Harmonious Cloud」で提供されているプライベートクラウドソリューションを活用。サーバー環境には、日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」と、Hyper-Vを用いている。加えてストレージ環境には、ストレージ容量の割り当てを自動で行えるミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage 2100」を採用した。新基盤では、サーバーの統合を図るだけでなく、サーバーのCPU性能は2.3倍、メモリ容量は1.2倍、ディスク容量は4.9倍に向上させるなど、システム性能も強化されている。

 なお法政大学では、こうした学内クラウド環境の実現により、学生向けのさまざまなサービスを強化するとともに、教職員の事務効率の向上、大学の競争力向上を目指す考え。さらに、BCPへの対応を一層強化するため、学外のデータセンターへの移行を検討していくとした。

 一方日立では、学内システムの全体最適化を目指した大学向け情報システムソリューション「IT Solution for Campus」の開発・提供を通じ、大学の学習環境および経営環境の向上をサポートする意向で、これまで培ってきたクラウド関連のシステム構築の実績に、今回のシステム構築によるノウハウも加えて、クラウドソリューションを強化するとしている。


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(石井 一志)
2011/11/7 13:20