NTTデータ、次世代ネットワーク技術「OpenFlow」を活用したクラウド環境構築の検証実験に成功
株式会社NTTデータは3日、次世代ネットワーク技術「OpenFlow」したクラウド環境構築の検証実験を、世界に先駆けて実施したと発表した。これまで実現が難しかった、マルチベンダー環境におけるクラウド環境全体の運用自動化を目的とし、アリスタネットワークス、エクストリームネットワークス、シトリックス、NEC、ブロケードといった、ネットワーク機器ベンダーおよび仮想化ソフトベンダーの協力を受けて行われたという。
今回検証されたOpenFlowは、ネットワークの仮想化および運用自動化のための技術。従来のネットワーク技術では、仮想化や運用自動化への対応が難しく、構成変更する際に物理的な機器ごとの設定を行う必要があるなど、運用への負荷が大きいため、その解決策として注目が集まっている。
この検証実験は、7月~9月の3カ月をかけて、NTTデータが開発しているOpenFlowコントローラから各社のOpenFlowスイッチを制御する環境を、NTTデータの設備上に構築し、その有効性を確認した。
検証環境のシステム構成 |
具体的には、従来のVLANを使わず、1つの物理ネットワーク上に構成の異なる複数のネットワークを、OpenFlowコントローラからの指示のみで仮想的に構築できることを確認した。これにより、VLANのIDを管理する必要がなくなるだけでなく、ベンダーごとに異なる方法で、それぞれのネットワーク機器を設定する必要もなくなるという。
さらに、従来、ネットワークを仮想化して集約する場合には、物理構成にあわせてネットワーク構成を修正しなければならなかったが、OpenFlowによって構成の異なるネットワークの仮想化が可能になるため、既存のネットワーク構成を変更せずに、クラウド環境上への移行を行えるようになるとのこと。
加えて、Citrix XenServerのライブマイグレーション技術「XenMotion」で、任意の仮想マシンをを別の物理サーバーに移動する際に、仮想マシンの移動に合わせて、ネットワーク経路が自動的に切り替わることも確認された。これにより、移動先に接続されているネットワーク機器のVLAN設定などをあらかじめ変更しなくとも、仮想サーバーを柔軟に移動できるようになる。
このほか、ファームウェアのアップデート時など、OpenFlowスイッチをネットワークから切り離したい場合を想定して、特定のOpenFlowスイッチを迂回させるようにOpenFlowコントローラから経路を制御できることも確認されたので、ユーザーの通信を止めることなく、ネットワーク機器の保守作業が可能になるとしている。
NTTデータは今後、自社の統合運用管理ソフト「Hinemos」のオプションとして、OpenFlowコントローラを2012年4月から販売する予定で、同時に、OpenFlowを活用したデータセンターネットワークの構築・運用サービスについても、提供を開始する予定とのこと。こうしたソリューションによって、運用コストの50%削減を目指すとしている。
なお今回の検証内容については、10月12日~14日に東京ビッグサイトにて開催される「ITpro EXPO 2011」、および10月26日~28日に幕張メッセで開催される「第2回クラウドコンピューティングEXPO 秋」の両会場で、デモが行われる予定だ。