NECがブレードサーバーを強化、IO共有スイッチや内蔵UPSなどを提供

省電力化、コスト削減など中小規模システムのニーズに対応へ


Express5800/SIGMABLADE
内蔵UPSとテープブレード「AT101a」の概要

 日本電気株式会社は20日、ブレードサーバー「Express5800/SIGMABLADE」(以下、SIGMABLADE)において、主に中堅・中小企業市場を対象にした製品強化を実施したと発表した。

 SIGMABLADEは、2006年に発表されたブレードサーバーシステムで、NECとしては3世代目にあたり、ブレードサーバー筐体は10Uサイズの「SIGMABLADE-H v2」と、6Uサイズの「SIGMABLADE-M」が提供されている。

 今回はまず、LTO4対応のテープブレード「AT101a」を提供し、外付けのテープ装置を不要にしたほか、バックアップ環境を含めた一元管理を実現。また、世界で初めてという、ブレードサーバー筐体に内蔵するUPSユニット(SIGMABLADE-M向けの)を製品化した。このユニットは、ニッケル水素バッテリを利用しており、外付けUPSと比べて約20%の充電時間短縮を達成している。また、冗長電源ユニットを利用するかわりにUPSからの電力供給を行い、電源の変換効率を向上させたり、80PLUS Gold準拠の電源ユニットを採用したりすることにより、省電力化も達成した

 プラットフォームマーケティング戦略本部 商品マーケティング統括グループ 統括マネージャーの浅賀博行氏は、このような強化がもたらす効果について、「従来型システムでは13U必要だった設置スペースを、6Uサイズと半分以下にした。またケーブル配線を不要にしており、冷却効率や保守性、増設時の容易性などを確保できている。消費電力も約30%削減した」とアピールする。

 また、ブレードサーバー筐体に内蔵する「IO共有スイッチ」を製品化した点も、大きな強化だという。このスイッチを筐体に搭載すると、サーバー、ストレージなどの各ブレードから、スイッチが備えるインターフェイスを共有できるようになり、柔軟なインターフェイスの活用が実現する。インターフェイスは、オンボードで10Gigabit Ethernetポートを搭載するほか、増設スロットを2基備え、ここにFCやEthernetなどの拡張カード(LowProfile PCI)を装着可能だ。

 浅賀氏は「従来は、ブレードそれぞれに拡張カードを載せ、さらにブレードサーバー筐体にスイッチを載せて使っていたが、IO共有スイッチを利用すると、各ブレードから自由に拡張カードの機能を利用でき、それぞれにブレードにカードを載せる必要がなくなる」と、このメリットを説明。さらに、「IO共有スイッチによる集約により、ネットワークシステムでは約60%、ブレードシステム全体でも約30%のコスト削減を行える」と、その効果を示した。

IO共有スイッチを手にする、プラットフォームマーケティング戦略本部 商品マーケティング統括グループ 統括マネージャーの浅賀博行氏IO共有スイッチの概要

 さらに、運用管理ソフト「WebSAM SigmaSystemCenter」の新版「同 V3」を用いると、IO共有スイッチとあわせて柔軟なシステム運用が行える。具体的には、柔軟なリソースの割り当てと、ブレードサーバー筐体内での待機サーバーの共有を実現。「従来は、SANブートなどのシステムがあれば同じことはできたが、それをブレードサーバー筐体内で可能にしている」(浅賀氏)という。

プラットフォームビジネスユニット 支配人の赤津素康氏

 なお、プラットフォームビジネスユニット 支配人の赤津素康氏は、こうした機能強化を行った背景について、「ブレードサーバーは年率115%で出荷成長しており、特にサーバー8台以下の中小システム案件では、年率120%で伸びている」ことを挙げ、中堅・中小企業でのニーズを拾ったと説明する。

 この市場では、赤津氏が引用したガートナーの調査によれば、サーバー仮想化に加えて、物理サーバーの統合、省電力機器へのリプレースといった項目が重点的な投資項目になっているとのこと。そこでNECでも、この結果を踏まえ、省スペース化、運用コスト削減、省電力化といったニーズに対応するための強化を行ったとした。

 新製品の価格は、UPSユニットが39万円(税別)から、テープブレードのAT101aが60万円(税別)から、IO共有スイッチが98万円(税別)から、WebSAM SigmaSystemCenter V3が40万円(税別)から。

 このほか、今回強化した製品などをセット化した「SIGMABLADEシステム統合基本セット」を、49万8000円から(税別、2011年3月末までの特別価格)で提供。また、最新のXeon 5600番台などを等際するサーバーブレード3製品、増設HDDブレードも製品化されている。発売時期は、IO共有スイッチとWebSAM SigmaSystemCenter V3が2011年度第1四半期、それ以外の製品は12月20日。

 「販売面では、クラウドやシステム統合、仮想化などの案件に対応するため、専任の『ITNWソリューションセンター』を30名体制で新設。一元的にプラットフォームシステムの販売を支援し、SIGMABLADE全体で、今後1年間に2万台の販売を目指す」(赤津氏)。

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