富士通が2010年度上半期連結決算を発表、営業利益は黒字転換

通期予想は下方修正


 富士通株式会社は27日、2010年度上期(4~9月)の連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比1.8%減の2兆1474億円、営業利益は前年同期の182億円の赤字から黒字化し、471億円。経常利益は297億円の赤字から314億円の黒字、当期純利益は前年同期比55.9%減の190億円となった。

 また、第2四半期単独では、売上高は前年同期比3.7%減の1兆1001億円、営業利益は96.4%増の371億円、経常利益は149.7%増の253億円、当期純利益は75.9%減の174億円。

富士通の加藤和彦取締役 執行役員専務

 富士通の加藤和彦取締役 執行役員専務は、「第2四半期の営業利益は全セグメントで増益となった。また、売上高は2009年10月のHDD事業の譲渡による影響が約400億円、および日本およびドイツを中心とした為替の影響として500億円を除くと、5%の増収になった」としている。

 採算性が悪化していたHDD事業を譲渡した影響や、LSI事業の構造改革効果などにより、売り上げ総利益率は2ポイント改善して、28.5%になったという。

 セグメント別の第2四半期単独業績は、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比3.5%減の7350億円、営業利益は51億円増の477億円。そのうちサービス事業の売上高は4.9%減の5871億円、営業利益が6億円増の318億円。サービス事業の内訳は、ソリューション/SIの売上高が2%増の2070億円、インフラサービスは1%減の3800億円。

 「サービスは国内、アジアは堅調に推移したものの、欧州における英国政府の財政緊縮策の影響があり、海外では営業利益で30億円の未達。だが、国内では30億円の改善となった」という。

 企業のIT投資抑制が継続しているものの、金融分野における大口顧客向け基幹系システムの更改対応商談があったことなどにより増収になったという。

 システムプラットフォーム事業の売上高は前年同期比2.6%増の1479億円、営業利益は44億円増の159億円。そのうち、システムプロダクトの売上高は10%増の823億円、ネットワークプロダクトが1%増の656億円。

 「トラフィック増加にあわせてネットワーク事業が改善しており、計画に対して営業利益で50億円の増益となった」としている。

 サーバー、ストレージなどの統合、仮想化商談が底堅く推移したことに加えて、欧州ではPCサーバーなどが堅調だったという。

 ユビキタスプロダクトソリューションは、売上高が前年同期比2.7%増の2643億円、営業利益が32億円増の44億円。そのうち、パソコン/携帯電話の売上高が4%増の1869億円、モバイルウェアは12%増の773億円となった。

 PCは、前年同期に景気低迷を背景とした企業の投資抑制や、新OS搭載機発売前の買い控えの影響もあり、増収となった。

 しかし、「PCは、国内が企業向けを中心に堅調だったが、欧州では計画を下回り、在庫が積みあがっている。だが、9月、10月にかけて回復しはじめており、在庫は年内には解消する方向にある。だが、国内PCは営業利益で50億円、計画を上回るが、欧州PC事業はドルで購入して、ユーロで売るという仕組みがユーロ安の影響でコストアップになり、売価に転嫁しきれなった」などとした。

 PCの上期の出荷台数は248万台。前年実績の247万台を若干上回った。携帯電話の出荷台数は300万台となり、前年の281万台を上回った。

 ナビゲーション向けなどのモバイルウェアは、国内において、政府のエコカー普及促進税制終了前の新車購入の駆け込み需要などにより増収となった。

 デバイスソリューションでは、売上高が前年同期比8.6%増の1611億円、営業利益は71億円増の52億円となった。LSIが携帯電話やサーバー向けを中心にした所要回復や、電子部品の市況回復、LSIの製造体制の再編や間接業務の効率化による固定費圧縮効果があったとした。

 

2010年度通期の業績予想を下方修正

 一方、富士通では、2010年度の業績予想を修正した。

 7月公表値に比べて、売上高は1300億円減の4兆6700億円。前年実績の4兆6795億円を下回ることになる。また、経常利益は100億円減の1600億円へ修正した。営業利益の1850億円、当期純利益の950億円は据え置く。

 売上高ではテクノロジーソリューションで1000億円を減額。ユビキタスソリューションで150億円、デバイスソリューションで100億円の減額を見込む。また、営業利益では、テクノロジーソリューションで70億円を減額、デバイスソリューションで50億円を減額するものの、全社的な費用効率化で120億円増額を見込んでいる。

 「中でもインフラサービスでは売上高で800億円の減額を見込んでいる。英国政府の財政緊縮策の影響があること、民需も景気回復の遅れが出ており、商談の先送りといった傾向もある。英国でのビジネスは前年割れになるだろう」などとしている。

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(大河原 克行)
2010/10/28 00:00