「日本をもう一度爆発させる」、シスコが新経営ビジョン「Ignite Japan」を発表


代表執行役員社長の平井康文氏
新しいシスコのビジョン「Ignite Japan」

 「今年のビジョンは『Ignite Japan』。日本を発火させる、もう一度爆発させたいという思いを込めた」――。シスコシステムズ合同会社(シスコ)は6日、2011年度の戦略説明会を開催。代表執行役員社長の平井康文氏は、同社の新しい事業方針をこう説明する。

 平井氏は、インターネットは最初B2Bでスタートし、B2Cで爆発的に拡大したが、「今後はB2S(Society)の基盤になる」と表現。社会基盤となったインターネットは、ガスや電気、水道に続く第4のユーティリティになるという考えを示す。その例として、ツルハドラッグの店頭に置いたビデオ端末と北海道大学病院をつなげ、リモートによる健康相談を実施している事例や、和歌山の小学校での外国人教師がビデオ端末経由で遠隔授業を行っている例、三機工業との提携によるビル内の統合ネットワークなどを挙げ、社会での活用が広がってきているとする。

 一方で、グローバル化が進む中、日本では就労労働人口が減少している点を指摘。「ひとりひとりの生産性を高めていくために、SNSなどのコンシューマが使っているさまざまな技術を、企業通信ネットワークへいかにはめ込んでいくかが大きな課題」だと主張。それに対して、シスコがどう取り組んでいくべきか、という回答の1つとして、「Ignite Japan」というテーマを取り上げた。

 現在、日本はリーマンショックの影響からなかなか立ち直れず、「元気がない」状態であるが、その日本に活を入れるために、「火をつける」という意味を持つ「Ignite」をキーワードとし、「ネットワークセントリックなソリューションを通して、日本の社会、経済、環境のイノベーションを加速させていく」(平井氏)との意図を込めて、このテーマを設定したという。

 また、そのために、「当社自身が変革し、それを実証実験としてお客さまにお届けする」として、積極的に社内での実践を進める考えを示した。その例の1つが、ビデオ会議、社内SNSなどの機能を統合したコラボレーションツール「Cisco Quad」。ソーシャルネットワーキングの機能をビジネス向けに取り込んだこのツールは、コンシューマのツールをビジネスへいかに取り込むか、という平井氏が挙げた課題を解決するために、ぴったりのツールといえる。

4つの基幹アーキテクチャとサービスに注力する

 なおシスコでは、「ボーダレスネットワーク(ネットワーク機器事業)」「サービスプロバイダ/IP/NGN」「データセンター/仮想化」「コラボレーション/ビデオ」の4つを、“基幹アーキテクチャ”に位置付けて、各分野でビジネスを推進する考え。さらに、これらの製品・ソリューションを導入する際の支援も重要になることから、「サービス」も大きな要素として展開するとのことで、従来通り、パートナーと協業する間接販売モデルによって、国内での展開を図るとした。

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(石井 一志)
2010/10/7 12:00