アウトソースに強みを持つベンダーが不況でも堅調~IDC Japan調べ

ITサービス市場ベンダー競合分析


国内ITサービスベンダーのITサービス売上高成長率とITアウトソーシング比率(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は27日、国内ITサービス市場ベンダー競合分析を発表した。これによると2010年3月期に主要ベンダーの国内ITサービス売上高は軒並みマイナス成長となり、極めて厳しい1年だったことが裏付けられた。

 2008年後半以降の国内経済悪化は、国内ITサービスベンダーの業績にも影響。国内ITサービス売上高が1000億円を超える主要ITサービスベンダーの2009年度の国内ITサービス売上高は、12社中10社でマイナス成長となり、2けたのマイナスを記録したベンダーも3社あった。

 その一方で、CTC、NRIはプラス成長を遂げており、NTTデータも小幅なマイナス成長にとどまった。3社に共通するのは、ITアウトソーシングの売上比率が高いことであり、「不況下でも一定の売り上げを生み出すITアウトソーシングが業績を下支えした」(IDC Japan)と分析。

 この結果、NTTデータの国内ITサービス売上高ランキングは前年の4位から3位へ、CTC、NRIはそれぞれ9位と10位から、8位と9位へと順位を上げた。

 2010年度に入っても急激な市場環境の好転は見込めない中、ベンダーはグループ体制の見直しを通じてサービスデリバリーや経営の効率を高めつつ、クラウドなど新たなサービスにも投資を始めている。また、新たな投資分野発掘のためのコンサルティング強化や、成長の機会を求めた海外市場進出など、今後は売上高の再成長に向けた動きも活発になると見る。

 ただし、ベンダー各社の注力領域は似通ってきており、またベンダーの中にはさまざまな分野に幅広く投資しようとしているところもある。これに対してIDC Japanでは、「ベンダーの多くは失地回復のためにさまざまな施策を行おうとしているが、中長期的な成長を考えると、今こそ施策の選択と集中を進めるべき。そしてそれを担う人材についても投資を進めることが必要だ」と述べている。

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(川島 弘之)
2010/9/27 17:42