“経産省はクラウドを応援します”、「クラウドと日本の競争力に関する研究会の報告書」が公開


 経済産業省は16日、「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」の報告書を公表したと発表した。経済産業省のWebサイトにて、PDF形式で公開されている。

 この報告書はもともと、2009年7月より4回にわたって行われた同研究会によって報告書(案)が作成されたもの。今回は、それに対するパブリックコメントの結果を踏まえ、正式な報告書として取りまとめられた。

 経済産業省ではこの報告書をもとに、クラウドコンピューティングの普及・促進を図るための施策を行っていく考え。具体的には、1)市場の健全な発展を通じたクラウド基盤の整備・充実、2)データの外部保存・利活用を促す制度整備と社会的コンセンサス形成、3)クラウドを活用したビジネスの国際展開につながるイノベーション創出の後押し、の3つをかかげ、三位一体の政策を進めていくという。

 1)では、クラウド基盤の整備・充実、データセンターの国内立地を促進するため、地元自治体、電力会社、データセンター事業者、IT企業などのアライアンスを複数地域で構築し、市場において、クラウドサービスの多様な選択肢が充実するよう支援する。あわせて、データセンターの環境性能を正確に測る省エネ指標(DPPE:Datacenter performance Per Energy)、信頼性を高めるクラウド間連携のための手続きや信頼性指標などについて、世界に先駆けての標準化を目指す。

 また2)では、データの外部保存・利活用を促す制度整備を進める。まず、データの外部保存やサービスの外部委託の障害となる諸規制の緩和を行うほか、匿名化など、プライバシーに配慮したデータ利活用・流通のルール整備、デジタル教科書など著作物の二次利用を可能とする制度整備、といった施策を進める。

 最後の3)では、大量の情報をリアルタイムに処理することで新たなサービスが喚起されるような分野において、ビジネスプラットフォームの構築・実証事業を推進し、クラウドサービスを通じた国際展開を図るとしている。

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(石井 一志)
2010/8/16 15:24