日本オラクル、クラウド環境でのJava仮想化を実現するミドルウェア製品

ハイパーバイザー上で直接動作する「JRockit Virtual Edition」などを提供


 日本オラクル株式会社は10日、クラウドコンピューティングへの展開を意識したミドルウェア製品を発表した。仮想化ハイパーバイザー上で直接動作するJava VM(JVM)「Oracle JRockit Virtual Edition(VE)」、仮想環境を効率よくデプロイするための「Oracle Virtual Assembly Builder」、データグリッドの新版「Oracle Coherence 3.6」を順次提供する。

 日本オラクルではクラウドに関して、1)サービスを直接ユーザーへ提供するSaaSプロバイダ、2)パブリッククラウドプロバイダに対して製品を提供するイネーブラー、3)プライベートクラウドを構築する企業ユーザー向けの製品提供、といった3つの立場でかかわっているが、今回は2)、3)の立場で顧客を支援する製品を提供するという。

 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部長の龍野智幸氏は、「当社では、パブリッククラウドで提供する俊敏性、コストの最適化といった要素をプライベートクラウドに取り入れていくことが重要とのメッセージを発しており、それを実現する要素のうち、仮想化とグリッドによる自律型・高密度のコンピューティングを提供する」と、今回の製品提供を説明する。

クラウド環境に求められる要素環境と利用目的自律型、高密度型のスケールアウト型コンピューティング環境を提供するという
仮想環境での利用において、OSを廃することで性能を向上させている
Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアマネージャーの杉達也氏
Virtual Assembly Builderのメリット

 その中で、仮想化対応を支援する役割を担うのが、JRockit VEとVirtual Assembly Builderだ。前者は、OSを廃して、JVMをハイパーバイザー上で直接動かすための製品で、BEAが提供していた「BEA LiquidVM」の後継にあたる。

 この最大のメリットは、OSによるオーバーヘッドをなくし、性能を向上させること。Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアマネージャーの杉達也氏は、「ことJavaアプリケーションに限っていえば、OSのフル機能は必要なく、JVMの機能が動けばそれで十分。JVMに必要なOSの機能だけを入れ込むことで、ハイパーバイザー上でOSを動かし、さらにその上でJVMを動かす場合と比べて、20~30%高速に動作する」とこの効果を解説した。

 また、OSを廃したことでパッチ適用などのメンテナンス作業を軽減できるほか、OSのセキュリティホールを突かれる危険性も減ることから、「DMZに配置されるフロントアプリケーションから、危険性も排除できる」とした。もちろん、JRockitの機能自体は従来と変わらず、その上で動くWebLogicアプリケーションサーバーやアプリケーション、またJRockitの付加機能についても、そのまま適用が可能だ。ハイパーバイザーは、現状ではOracle VMをサポートする。

 2つ目のVirtual Assembly Builderでは、既存の仮想/物理環境からソフトウェアコンポーネントの設定情報を自動収集し、必要な製品・サービスをパッケージ化するためのフレームワークを提供する。例えば、Web層、アプリケーション層、データベース層の3層構造でシステムが構成されている場合に、各層を「仮想マシンイメージ+変更可能なプロパティ情報」としてカタログ化。それらを組み合わせて、容易にシステムを設計・展開できるようにしている。

 杉氏は、この活用シーンの例として、「どのシステムでも、開発・テスト環境で本番環境に近いシステムを作るはず。その各層の情報を吸い上げてカタログ化し、構成を組み上げることで、展開を容易にできる」と説明。さらに、「規模感の調整は自由に行えるため、規模を変えて拠点ごと、顧客ごとに展開することも容易になる」とメリットを強調した。

 これらの両製品については、現在、限られた顧客やパートナー向けにパイロット提供を始めているところで、一般提供の時期は未定とのこと。

 最後のCoherenceは、多数のサーバーのメモリを統合し、分散型インメモリデータグリッドを構築するための製品。キーバリューストア(KVS)のテクノロジーに近いが、一般的なKVSと比べて信頼性に優れるほか、パラレル処理が可能な点が異なるという。

 新版では、SQLライクなクエリインターフェイスが利用可能になり、アプリケーションに適用する際の敷居を下げた点が最大の特徴。このほか、自律的なサービス管理を行える「Quorum管理機能」や、複数のキャッシュ領域を横断する分散トランザクションに対応し、より大規模環境での適用に向けた強化も行われている。

 こちらは、9月より提供を開始する予定で、価格は従来と同様とのこと。

Coherenceの特徴新版での新機能
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