住友林業とNEC、住宅業界向けクラウドサービス事業で協業


 住友林業株式会社と日本電気株式会社(NEC)は20日、住宅業界向けクラウドサービス事業において協業することで合意したと発表した。両者は住宅関事業者向けの業務システムをSaaS型で提供するクラウドサービスを「JHOP(ジェイホップ)」の名称で開発。同日販売を開始し、10月より順次サービスを提供する。

日本電気株式会社 龍野康次郎 執行役員住友林業株式会社 坂 直 執行役員

 NECと住友林業の役割分担については、事業主体はNECで、NECがサービス提供を行う。住友林業はビジネスノウハウや販売チャネルなどを提供し、住友林業のノウハウに基づいてサービス開発を行う。両社がこうした形で提携するのは初めて。

 「JHOP」は住宅関連事業者向けに、物流システムと簡易プラン作成CADの受注支援関連のサービスを10月から提供。以後、バーチャル展示場、電子カタログ、プラン集など家づくりに関する情報提供や、構造設計CAD、実行予算、販売管理、工事および資材発注、工程管理などの業務システムをワンストップで順次提供する予定だ。

 施主の利用できるサービスとしては、バーチャル展示場などで情報収集が可能となるほか、10月から提供する簡易プラン作成CADでは、事業者だけではなく施主も利用可能にする。具体的には、プログラムをダウンロードすることで施主もプランを閲覧でき、施主と工務店がデータを共有してプランづくりを進められるという。

 また、地域密着型サービスの提供も目玉としており、建材納材店を中心とした地域の住宅関連事業者と積極的に連携して、事業活性化と役務最適化を図る。

 料金は、オンデマンドで必要なサービスを利用することになるが、受発注伝票1通で200円程度を想定。具体的な金額は住宅によりかなり異なると考えられるが、「1棟あたりのシステム投資コストを現状の半分くらいに低減したいと考えている」(日本電気株式会社 龍野康次郎執行役員)という。

 住友林業株式会社 坂 直執行役員は発表会で、2009年の住宅着工件数は45年ぶりに80万戸を割り込んだという数字を上げ、住宅業界の厳しい現状を述べた。ことし2010年は、83万戸程度、80~85万戸の間で動くだろうと見ているという。

 こうした中で、今後需要の伸びる長期優良住宅は70%程度が大手施行だが、坂氏は「工務店の発展なくして住宅業界の発展はない」と業界を支える工務店の活性化が重要であることを強調。市場規模が80~85万棟になる中で、メーカー・ビルダーがひとつのプラットフォームで連携することで業界活性化および業務効率化を目指すと述べた。

 なお、「JHOP」のパートナー企業としては石川県金沢市の株式会社シーピーユー、東京都新宿区の日本ユニシス・エクセリューションズ株式会社、株式会社DTSの3社がすでに参加を表明している。

 また、住友林業の関連会社で住宅資材の物流サービス事業を展開するホームエコ・ロジスティクス株式会社は、「JHOP」のSaaS型物流システムを活用した物流事業を展開していく。

 住友林業とNECは、戸建住宅市場規模年間約35万棟のうち、2014年には約10万棟の利用を事業目標としている。

住宅業界の課題とJHOPの目的JHOPの概要JHOPの特徴
JHOP利用のメリットJHOPサービス一覧とリリース予定JHOP事業目標
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(工藤 ひろえ)
2010/7/20 12:05