「Googleにもサーバーを提供中」、デルをOEMパートナーに選ぶメリットは?


米Dell グローバルOEMソリューションズ プレジデントのリック・フレーリック氏
Dellを採用することのメリット

 デル株式会社は15日、同社のOEMビジネスに関する説明会を開催。米Dell グローバルOEMソリューションズ プレジデントのリック・フレーリック氏が、自社の強みと現状を紹介した。

 Dellでは、12年以上前からOEMビジネスを手掛けており、現在の売り上げは10億ドル程度。「40を超える業種に1400社の顧客があり、OEMに対してPCのハード、サービスを提供する中では、ナンバーワンのポジションにある」(フレーリック氏)のが現状だという。

 では、なぜDellはOEM事業を行っているのであろうか。フレーリック氏は、市場の規模がワールドワイドで700億ドル、そのうちDellの対象としている領域が300億ドルの規模だと説明し、大きな可能性があることを示す。

 一方、OEM提供を受ける側のメリットとしては、「今まではハードで付加価値を提供していたが、今は、ソフトに入っている知財に付加価値がある、という傾向が主流になった」という点を指摘。ハードウェアをDellに頼ることで、部材をより安価に調達できるようになるなど、規模の経済を享受できる上、システム開発に必要なリソースが増大しつつある中で、ハードウェア部分をデルにアウトソースすれば、開発も効率的に行えるとした。

 さらには、Dellが持つグローバルなサプライチェーンも武器になると、フレーリック氏はアピール。「グローバルに、より効率的に提供できる当社では、いかなる地域でも同じ製品を組み上げられる。ポーランドでもブラジルでも米国でも同じ製品を使え、コストを下げられる。現場に一番近い国で組み立てれば、輸送コストもかからない」と、メリットを強調する。

 フレーリック氏によれば、実際に、顧客はホワイトボックスベンダー、とりわけアジアのそうしたベンダーに依頼していたケースが多くあったという。しかしホワイトボックスベンダーに依頼する場合は、設計の部分から自ら立ち上げないといけないのに対して、Dellに依頼するのであれば、標準ベースのものを活用したり、それをカスタマイズしたり、といった作業を容易に実行可能。規模の経済の活用やエンジニアリングコストの削減などによって原価を下げることができれば、販売時のマージンを上げることもできるのだ。

 また、単にハードウェアを提供するのみならず、製品デザインについても顧客と一緒に行っているとのことで、大規模ヘルスケア企業が提供している、診断用MRIの事例を紹介。ホワイトボックスのサーバー×2、競合ベンダーのワークステーション×1、JBOD×1という組み合わせで提供されていたものを、ワークステーション×2に置き換えることに成功し、21.5%の初期コスト削減と、機器の削減による複雑性の排除を達成できたとした。

 ユーザーとしては、Polycom、Google、Amulet Hotkey、SIEMENS、Symantecなど多岐にわたっており、中小規模から大規模の企業まで、満遍なく利用されているという。国内でも、新たな日本人の責任者を採用する予定で、医療、ファクトリーオートメーション、リテール、テレコム、アプライアンスの5分野に特に焦点を合わせ、事業を進めていくとのこと。すでに25以上の大企業の顧客を獲得しているとした。

 「現在は北米と欧州がほとんどだが、アジアでもこの1~2年で10億ドルの規模に成長させたい。基本的には、日本向けは今まで通り中国で製造を行うが、東京近辺にも、近々にカスタマイズ用の設備を設ける計画がある」(フレーリック氏)。

ホワイトボックスや競合製品からの置き換えで、初期コストの低減や複雑性の排除を実現した事例Googleに提供しているサーバー
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