日立、環境配慮型データセンターの中国展開を強化


情報・通信システム社ITサービス事業部長の渡部芳邦氏

 株式会社日立製作所(以下、日立)は7日、海外での環境配慮型データセンター事業体制を強化すると発表した。欧州に続き、中国に専門組織を設立し、環境配慮型データセンター構築のコンサルテーションから、工事・施工サービス、機器販売までをワンストップに提供。グループ全体で2015年度に330億円の売り上げを目指す。

 日立および日立グループでは、2007年にスタートしたデータセンター省電力化プロジェクト「CoolCenter50」で開発した技術・製品の事業化を、2009年4月に発足した情報・電力・電気融合事業推進本部を中心に加速している。

 2008年には、欧州の現地法人Hitachi Europeに同事業を取りまとめる専門部署を設置し、英国やオランダにおいて現地の企業と戦略パートナーシップ契約を締結するなど、グローバル展開を推進してきた。

国内事業。CoolCenter50で生まれた技術を製品・サービスとして提供。2010年6月現在、30の商材を取りそろえる欧州展開。Hitachi Europeを中心に現地の施工業者やゼネコンなどとパートナーシップを結び、事業を推進している

ロンドンにデモルームも設置欧州におけるパートナーシップ

海外展開。2010年に中国、2011年に北米へ展開し、2015年度に330億円を目指す
今後、技術的にはIT機器と設備の連係に力を入れる

 今回は欧州に続き、中国において環境配慮型データセンター事業を強化する。日立(中国)有限公司に事業を取りまとめる専門部署を6月1日付けで設置。日立、グループ各社、現地パートナー(施工業者やゼネコン)で連携し、ワンストップの事業展開を図る。

 提供する製品・サービスは、「データセンター設計コンサルティング」「データセンター設備建設、設計施工」「データセンター省電力診断サービス」「モジュール型データセンタ」「UPS」「スーパーアモルファス変圧器」「指静脈認証システム」「空調機器」「ITコンサルティング・アウトソーシング」など。

 これまで『CoolCenter50』で開発してきた30商材の中から、「市場の特性に合った競争力のある商材のみを各地域に展開していく」(情報・通信システム社ITサービス事業部長の渡部芳邦氏)とのことで、コンサルテーションや建設工事、関連設備の納入まで一括して実施していく。

 「日立の強みは、IT機器と設備の両方を提供できる点だ」と渡部氏。「今後、技術的にはIT機器と設備の連係に力を入れる予定」で、2009年7月に開設した「横浜第3センタ」における実証では、IT機器のワークロード片寄せに連係した空調機運転により、余分な機器の電源をオフにすることで、約40%の電力削減効果を確認している。

 2011年には北米展開も図り、2015年度に設備・関連サービス(IT機器除く)で330億円の売り上げを目指す方針。「2009年度の50億円から飛躍的な目標。まだ海外比率は数%のみで、国内がほとんどだが、330億円では海外比率30%ほどを目指したい(同氏)としている。



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