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デル、Azureアプライアンスの国内提供を開始 設置から最短3時間でハイブリッドクラウド環境を構築

 デル株式会社は5日、Microsoftとのグローバルな戦略的提携に基づき、Microsoft Azureとのハイブリッドクラウド構築するアプライアンス製品「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft(DHCS)」の国内提供を開始すると発表した。

 DHCSは2015年10月に開催されたDell Worldで発表され、すでに米国や欧州では提供が開始されている。

DHCS搭載のラック側面

 DHCSは、既存のオンプレミス環境において、Azureとのハイブリッドシステムを容易に構築するアプライアンスだ。デルのPowerEdgeサーバー、PowerVaultストレージ、Networkingスイッチで構成されたハードウェアに、マイクロソフトの提供する「Microsoft Cloud Platform System(CPS)」を組み合わせており、ラックマウントからソフトウェアのインストールまでを済ませた状態で提供される。

 日本で初めてCPS Standardを組み込んだアプライアンスでもあるDHCSには、「Windows Azure Pack」とSystem Center 2012 R2、Windows Server 2012 R2がすでに含まれた状態で提供される。また、DHCSは2016年中に提供が予定されている「Microsoft Azure Stack」にも対応しているという。

DHCSのコンポーネントスタック

 DHCSは、設置から稼働までの時間が非常に短いことを特徴にしている製品でもある。デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューションズ事業本部長 町田栄作氏は、「設置してから最短3時間でハイブリッドクラウド環境を利用することができる」と特徴をアピール。

 さらに同社 エンタープライズ・ソリューションズ事業本部 エンタープライズソリューション&アプライアンズ 部長の馬場健太郎氏も「わずか数時間で設置からオンプレミス/クラウドへのバックアップ設定まで完了した環境を提供できる。さらにAzureの管理ツールに統合されたデルのハードウェア管理ツールも提供される」と述べている。

デル エンタープライズ・ソリューションズ事業本部 エンタープライズ ソリューション&アプライアンズ 部長の馬場健太郎氏
設置からわずか数時間でハイブリッドクラウド環境を利用できるという

 発表会に参加した日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏は、「マイクロソフトが目指しているIntelligent Cloud Platformは、コンピューティングリソースを、オンプレミスやクラウドを問わず自由に配置できる世界。アプライアンスの登場によって、よりリアルにIntelligent Cloud Platformをお届けできるようになった」と述べた。

 また、SIerの立場から発表会に参加した日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長の牧田幸弘氏は「これまでハイブリッドクラウドの環境は、利用できるまでに3か月程度の時間がかかっていた。ハイブリッドクラウドの環境がアプライアンスで提供されることで、その先のサービス面でよりお客様のビジネスに貢献できるようになる」と述べ、マイクロソフトの佐藤氏と同様、今回のDHCSの国内提供開始を歓迎した。

日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏
日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長の牧田幸弘氏

 DHCSは規模に合わせたTシャツモデル(サイズによって値段が異なる)形式の提供となっており、VM数100台程度までの「Sサイズ」、VM数200台程度までの「Mサイズ」、VM数400台程度までの「Lサイズ」がある。Sサイズの最小構成価格は3200万円。

システム規模に合わせて最適なモデルを選択できる

 また、ファイナスオプションとしてデルでは、構築時ではなくサービスインしてからの支払いとなる「Provision and Pay」や、将来的な成長プランに基づき、分割の支払金額を決定する「Pay As You Grow」を用意している。

北原 静香