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NICTなど、Wi-Fiとクラウドを複数のネットワークを介してつなぐ広域仮想網を日米間で実証

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、国立大学法人東京大学大学院情報学環、株式会社KDDI研究所は7日、株式会社日立製作所および米国ユタ大学の協力を得て、クラウドを含む有線仮想網とWi-Fi仮想網を相互接続する技術を新たに開発し、Wi-Fi−インターネット−クラウド間を全体で1つの仮想ネットワークとして動作可能な「有無線マルチドメイン仮想網」を日米間で構築する実証実験に世界で初めて成功したと発表した。

有無線マルチドメイン仮想網の国際実証実験

 実証実験は、Wi-Fi通信機能を内蔵するスマートグラスなどの無線IoTデバイスと、遠隔のクラウドサーバーとの常時通信を基本とするサービスの需要が高まっていることを背景とし、国際・国内回線やWi-Fiなどの複数のネットワークを介した通信について、全体として一貫した通信品質を確保することを目的としたもの。

 東京大学大学院情報学環、KDDI研究所らの研究グループは、NICTの委託研究「新世代ネットワークを支えるネットワーク仮想化基盤技術の研究開発」の一環として、複数の有線仮想網を共通の品質やポリシーで相互接続する技術などを共同開発したが、無線仮想網の相互接続までは実現できていなかった。

 一方、NICTでは、ユーザー密集などによりWi-Fiが混雑する環境において、SDN(Software-Defined Network)技術に基づき、優先度が高いサービス専用の基地局資源を動的に確保することで、Wi-Fi混雑環境下においても、特定サービスの通信品質を優先的に向上させることができる「仮想化Wi-Fi」基地局の開発を進めてきた。

 今回、研究グループでは、クラウドを含む有線仮想網とWi-Fi仮想網を相互接続する技術を新たに開発。Wi-Fi−インターネット−クラウド間をつなぐ有無線マルチドメイン仮想網を日米間で構築する実証実験に成功した。構築した有無線マルチドメイン仮想網により、NICT本部内のWi-Fi端末がユタ大学内のクラウドサーバーからパケットロスなく安定した応答が得られたとして、今回の成果は、通信方式が異なる複数の無線仮想網との相互接続にも応用可能で、新しい無線技術が次々と実用化されるIoT時代のSDN相互運用の高度化に向けた大きな一歩だとしている。

有無線マルチドメイン仮想網の実験構成
有無線マルチドメイン仮想化網によりクラウドサーバからの応答が安定

 実験では、東京大学、KDDI研究所が中心となって開発した「スライスエクスチェンジポイント(SEP)」に、NICTが日立の協力を得て開発したWi-Fi仮想網接続機能を追加することで、SDNによる3つの仮想網の一括制御を実現。国内からの海外クラウド利用を想定し、国内Wi-Fi仮想網と、ユタ大学の仮想化基盤「ProtoGENI」上に構築されたクラウドを、JGN-X上で運用される仮想化ノードによる有線仮想網が中継する構成となっている。

 研究グループでは、実験の成果は海外拠点のクラウドを利用したスマートグラス向けサービスや、屋内移動型ロボットの安全な遠隔自動操縦など、製造・物流を中心に、Wi-Fiとクラウドを利用したIoTサービスへの幅広い応用が期待されるとしている。

(三柳 英樹)