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ネットワン、クラウド間の仕様差を吸収して再構成する「クラウドブローカリングサービス」

 ネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は17日、クラウド間の仕様差を吸収し、利用するアプリケーションの視点でクラウド環境を再構成する「クラウドブローカリングサービス」の提供を開始した。主な販売対象は、大規模企業、官公庁・自治体、サービス事業者で、3年間で7億円の売上を目標とする。

「クラウドブローカリングサービス」の概要

 「クラウドブローカリングサービス」は、米CliQrのアプリケーション定義型クラウド管理プラットフォーム「CliQr CloudCenter」を活用。利用するアプリケーションの視点で、利用するクラウド環境を、プライベートクラウドや複数のパブリッククラウド(IaaS)をまたがって、全社で一元管理可能にしてセキュリティやガバナンスを強化する。アプリケーションとそのインフラ構成をカタログ形式にカプセル化することで、クラウド間の仕様の差を吸収し、コードやインフラ構成を修正することなく、コストや性能の面で最適なクラウド環境へ展開可能にする。

 サービスでは、アプリケーションとインフラ構成(ウェブサーバー/アプリケーションサーバー/データベースサーバー/ロードバランサー/ファイアウォールなど)を融合した情報を、カタログ形式にカプセル化。これにより、各クラウドの仕様差の吸収と一元管理を実現する。

 カタログは、GUI上でインフラ要素をドラッグ&ドロップする直観的な操作で簡単に作成でき、最適な構成をテンプレート化することでナレッジの蓄積が可能になり、アプリケーションの開発・展開速度を向上させる。さらに、ネットワンシステムズがノウハウを活かして作成した高可用性構成やセキュリティ強化構成などのカタログテンプレートも提供する。

 作成したカタログを活用して、複数のクラウド間でアプリケーションの処理性能やインフラ稼働コストを比較する機能も提供。これにより、利用目的に最適なクラウドを客観的に判断できる。稼働コストは、各クラウドサービスのAPI経由で最新の価格を反映して計測。処理性能の計測では、シミュレーションではなく実際のクラウド環境に展開して算出し、N-tierアプリケーションでは1秒あたりで処理できるリクエスト数で計測することで、最適なインスタンスサイズも検討でいる。

 カタログ化によって各クラウドの仕様の差分を吸収し、コードやインフラ構成の修正なく、アプリケーションを各クラウド上に自動展開可能。これにより、性能や価格を比較した上で、最適なクラウドに仕様の差を意識することなくアプリケーションを簡単・迅速に展開できる。この機能は、クラウドの固有仕様やふるまいを調整する「CloudCenter Orchestrator」をクラウド上で稼働させ、そこにカタログを展開することで実現している。

 また、マルチクラウドの利用状況を一元管理してガバナンス強化が可能。アプリケーションが稼働しているクラウド環境について、利用クラウド、リソース利用状況、利用者などの情報を、単一の画面で一元的に管理でき、利用部門ごとにテナントを分け、役割に基づいた権限やコスト割り当ての設定ができる。複数のクラウドをまとめたポリシー設定が可能で、しきい値に基づいたアラート設定や、リソース利用状況や特定タイミングでの自動スケール設定、アプリやクラウドごとに“テスト・開発・商用”などのライフサイクル別のタグが設定可能で、管理・運用を単純化、自動化する。

 サービスはまず、「Amazon Web Services」と「VMware vCloud Air」に対応し、今後利用可能なクラウド環境を増やす。今後はプライベートクラウドのオーケストレーションツールとして「VMware vCenter」や「OpenStack」に対応するとともに、「Cisco ACI」や「VMware NSX」などのSDN製品とも連携し、アプリケーション、インフラ、ネットワークを連携させたプロビジョニングも実現する。

 価格(税別)は、仮想マシンの最大同時稼働数が10台からの「エントリープラン」が月額3万9800円から、100台からの「スタンダードプラン」が月額37万8100円から、1000台からの「エンタープライズプラン」が月額358万2000円から。各プランとも初期費用は29万8000円。

管理画面
カタログ作成画面
性能・価格比較画面

三柳 英樹