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NTT Com、香港の金融機関向けデータセンターを拡張、第2棟を開設

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は9日、香港で提供中の「香港 ファイナンシャル データセンター」において、約150億円を投じて建設した第2棟(FDC2)の提供を開始した。

「香港 ファイナンシャル データセンター」FDC2の外観イメージ

 FDC2は、香港の九龍半島東部のTKO(Tseung Kwan O:将軍澳)地区に位置し、既存棟(FDC1)と合わせて香港最大規模のサーバールーム面積約1万7000平方メートル(7000ラック相当)を提供する。

 NTT Comでは、多国籍企業の拠点が集中し、金融機関やIT企業の顧客が多い香港のデータセンター需要に応えるため、2013年5月にデータセンター業界の最高品質水準「Tier IV」に対応したFDC1を建設したが、販売開始時点で満床近くになるなど、拡張が急務となっていた。

 FDC2は、Tier IV対応可能な高信頼性をFDC1から継承しつつ、設備効率性を高め、香港のデータセンターでは最大規模となる地上6階建てのデータセンター専用ビルにより、Nexcenterブランドの下でサービスを提供する。

 二系統冗長構成の電力設備、停電時でも空調システムの継続運転を可能にするUPSバックアップと180万リッターの大型冷却水タンク、8段階の安全なセキュリティ運用を完備し、ミッションクリティカルな金融機関や、IT企業の基幹システム用に適している。データセンターには大容量光海底ケーブルのASE(Asia Submarine-cable Express)が直結しており、アジアの主要都市間を結ぶネットワークサービスを提供。香港証券取引所にも近接しており、金融商品の高頻度取引などを扱う金融機関の利用にも適している。

 最大24kVA/ラックの高密度電力利用が可能な54Uの大型ラックを採用し、顧客は利用ラック数を節約することが可能。ラックの冷却効率を高める壁面吹き出し方式の採用や、寒冷時は冷凍機を停止して冷却塔での熱交換に切り替えるウォーターサイドエコノマイザーにより、空調システム全体のエネルギー効率性をこれまでより約16%高めている。

 また、FDC2では、デジタル3D化した建物データに設計・管理・コストなどの情報を付加したデータベースを使い、設計・施工・維持管理に至るライフサイクルを通じて情報活用を可能にするビルディングインフォメーションモデリング(BIM)と、データセンター設備や稼働状況などを管理するデータセンターマネジメントシステム(DCS)を統合。システムの実稼働状態や過去の履歴など、顧客の戦略的意思決定に必要な情報を可視化し、顧客専用のカスタマーポータルサイトでリアルタイムに提供する。

三柳 英樹