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米Microsoft、Microsoft Azureの機能拡張を発表

Azure App Serviceやデータベース関連のサービスを追加へ

 米Microsoftが開催しているBuild 2015では、クラウドサービスのMicrosoft Azureに関する発表がいくつも行われた。注目されていたWindows 10の情報よりも、むしろMicrosoft Azureに関する情報に時間が割かれており、このあたりは、クラウドファーストを表明しているナデラCEOならではだろう。

 まず、Microsoft Azureのデータセンターが19リージョンに拡大された。AWSやGoogle Cloudよりも多くの地域で、Microsoft Azureが利用できることになるという。

Microsoft Azureは各地域でデータセンターを拡充している。現在データセンターは、19リージョンで運用されている
2016年にリリースが予定されている次期Windows Serverでは、コンテナ技術のDockerがサポートされる

 Microsoft Azureでサービスが開始されたAzure App Serviceは、Web Apps、Mobile Apps、Logic Apps、API Appsなどをサポートしたクラウドアプリの構築環境。特にAPI Appsでは、Microsoft Azureを基盤といてサービス提供されている自社のOffice 365、Dynamics Onlineだけでなく、Salesforceなどの他社のSaaSともAPIで連携して、ユーザーが独自のサービスを構築できるようになる。

 さらに企業ユーザーは、自社のオンプレミス環境にあるデータベースなどのシステムとVPNでMicrosoft Azureをつなぎ、オンプレミスのデータをパブリッククラウドに持ち出さずに、サービスを構築することもできるという。これによって、パブリックとオンプレミスの境目のない、ハイブリッドな環境が構築可能になる。

Azure App Serviceは、モバイルアプリ、Webアプリ、ビジネスロジック、SaaS接続などがサポートされている
SaaSとAPIで接続することで、SaaS内部のデータにアクセスすることができる
Azure App Serviceは、クラウドのメリットを生かしたサービス開発を行えるようにするインフラだ
MicrosoftのSaaSだけでなく、他社のSaaSともクラウドAPIで接続することができる

データベース関連の機能を強化

 今回、Microsoft Azureのデータベース関連でも、いくつかの機能が発表された。

 Azure SQL Database Elastic Database Poolは、数千のデータベースを横断して、1つのデータベースプールに集約することができる。

 また、PB(ペタバイト)クラスのデータを簡単にアグリゲーションして集められるAzure SQL Data Warehouseが発表された。Hadoop、SQL Database、オンプレミスデータベースなどのデータを統合し、BIツールのPowerBIで分析したり、Azure Machine Learningを使って機械学習を使用したりすることもできる。

Azure SQL Database Elastic Database Poolは、複数に分かれているデータベースを、いくつかのプールとして一括して管理・運用することができる
Azure SQL Database Elastic Database Poolの管理コンソール
Azure SQL Data Warehouseは、HadoopやSQL DBなどのデータをPBオーダーで収集して利用することができる。
Microsoftでは、Azure SQL Data WarehouseはライバルのAWSに比べて、さまざまな部分で優れていると主張している

 もう1つ、IoT時代になり重要になってくるのが、膨大なデータを蓄積するData Lakeだ。これに対しても、Azure Data Lake Serviceを新しく提供することで対応していこうとしている。

 この他、Azure Machine Learningを利用したOffice Graphを基盤として使用したOffice Delvのデモも行われた。

Azure Data Lake Serviceは、各デバイスから上がってくる膨大なデータを収集する
エンタープライズベースのセキュリティとアクセスコントロールをサポートしながら、高いスループットと低レイテンシを実現している

 Build 2015では、Microsoft AzureやOffice 365などに関していくつかの発表はあったが、5月4日から米国シカゴで開催されるIgnite(旧Tech-ED)で、中身の詳細やさらなる新機能などの発表があるだろう。

山本 雅史