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屋内測位のノイズを人工知能で除去、より高精度に~NTT ComとSOINN

IoTデータを迅速に分析するクラウド基盤を開発

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)とSOINN株式会社は31日、クラウド上の人工知能(AI)でIoT関連ビッグデータを迅速に生成・分析する「CLARA with SOINN」(仮称)を発表した

 自律学習する汎用型AI(人工知能)「SOINN」を用いて、IoT機器が収集する膨大なデータから自律的にノイズ(不要な情報・異常値など)を取り除いたうえで、法則性や因果関係を発見する。この技術をNTT Comクラウド上で活用する基盤を確立した。

 IoTでは、ネットワークに接続された多数の機器(センサー)により得られる膨大なデータから特定の兆候を読み取り、その兆候に応じて機器を調整することで、高度に自動化されたサービスが可能になるとされる。そこでポイントとなるのが、収集データの「ノイズの除去」と「高精度・高効率な兆候の検知」という。

 SOINNはデータのノイズを自ら判別できるほか、専門家が事前に兆候が起きるルールを設定しなくても、自律的に兆候を発見し、かつそのルールを更新する高度な自律学習機能を備える。

 この基盤にて可能になる一例として、「高精度屋内測位」を挙げる。通常、屋内に設置されたWi-FiやBLEビーコンから屋内測位を行う場合、機器から送信される電波強度に応じて位置を割り出す。が、電波干渉や周囲の環境により電波は不安定になるため、数メートル~数十メートルの誤差が生じる。

 今回の技術では、膨大かつノイズが混じった電波強度(電波の反射などでゆらぎがある状態)の情報をクラウドに収集し、自動的にノイズを除去。同時に電波強度と位置の関係性を自動的に学習して発見する。

 一般的にスマホのOSやWi-Fi・BLEチップの違いや、周囲の状況(人や物の有無)の変化も精度を低くする要因となるが、これらに対しても自動で適応し、新たな学習モデルを生成することで精度の高さを維持できるという。

 今後、多様なIoT端末から収集されたセンサーデータ、映像・画像データ、端末ログなどに対象範囲を広げて、AIを活用した技術開発を進め、IoTとクラウドの融合を図るという。CLARA with SOINNは汎用性の高い技術なので、さまざまなサービスや事業を高度に自動化し、広範なビジネス領域に広げられるとしている。この仕組みをNTT Comクラウド上のAPIとしても提供し、多様なコラボレーションを生み出していく考え。

川島 弘之