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災害時に閉ざされた地下から避難誘導、実証実験にACCESSのBeacon基盤が採用

 株式会社ACCESSは25日、BLE Beaconを用いた位置連動型コンテンツ配信サービスプラットフォーム「ACCESS Beacon Framework(ABF)」およびチャット技術を用いたクラウド型メッセージサービス「Linkit」が、G空間シティ地下防災対策コンソーシアムに採用されたと発表した。最先端ICTを活用した地下空間での災害情報伝達システムの開発、および大阪・名古屋・東京の地下空間における実証実験に利用される。

 総務省「G空間シティ構築事業」の一環として行うもの。立命館大学主導で、被災で制限された通信環境下における地下空間を含む情報伝達・避難誘導の実現をめざした事業。被災施設の管理者が、施設内防災センターや災害対策本部での各種情報を収集し、滞在者への的確な情報配信や避難誘導などが可能になるようなICTインフラの導入・運用モデルケースを構築する。活用技術は、準天頂衛星、IMES、Beacon、Wi-Fi、PDR、近接通信、人流センシングなどが想定されている。

 災害情報伝達システムは、地下街などのGPSが利用できない閉鎖空間にて、スマホを活用して自分の位置把握やこれに附帯する各種サービスを提供するのが目的。災害の種類、発生場所、規模、自分の現在地に基づく避難経路情報の提供といった災害時の利用だけでなく、地下街での位置情報サービス、経路案内サービスなど平常時も利用可能なサービスとすることで、いざというときに有効に稼働するシステムをめざす。

 ACCESSは、このシステムにABFとLinkitを提供している。BLEはGPSの届かない施設内でも10m程度の近距離無線が可能な技術で、地下街にBeacon端末を多数設置し、地下での位置特定や情報取得トリガーとなる固有IDを取得するためのインフラとして利用。

 また、特定のエリア内に設置された各Beaconにより検知されたスマホの位置情報から、地下街管理者側で人流情報を把握したり、残留・滞在者のスマホに向けて本人の位置や最寄りの非常口などの情報をプッシュ配信することで、緊急時の避難誘導に役立てるという。

 さらにLinkitを地下街管理者のシステムに組み込むことで、防災センターと現場の職員間でのチャットによる迅速な双方向コミュニケーションを確立。災害や避難に関する情報をタイムラインで共有し、災害時の的確な情報展開を支援するという。

 開発したシステムは、大阪地区(ホワイティ・うめだ地下街)、名古屋地区(セントラルパーク地下街)、東京地区(東京メトロ・二重橋前駅)の各地下街における避難訓練で活用し、有効性検証を行う予定。2月より各地区で順次実施する。

川島 弘之