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新たな地図技術で移動を快適に~東京駅周辺での実証実験にNTTが参画

 NTTは15日、車いすやベビーカーで移動する人や高齢者、訪日外国人などの身近な移動を安心・便利にする「ダイバシティ・ナビゲーション」の実現に向けた研究開発を推進すると発表した。国土交通省「東京駅周辺高精度社会プロジェクト検討会」に参画し、東京駅周辺における実証実験に参画する。

 現在、国土交通省では2020年の東京オリンピック開催時に高度な測位環境を活用したさまざまなサービスの実現をめざす「東京駅周辺高精度社会プロジェクト検討会」を立ち上げ、2015年1月下旬から、東京駅周辺において、高精度な屋内測位を効率的に実現するための手法を明らかにする実証実験に取り組んでいる。

 NTTはこの実証実験において、「ソーシャル・バリアフリーマップ」「パラメトリック地図」「画像認識技術の屋内測位への応用」「PUSH配信基盤技術による最適情報配信」「地図配信や測位情報を活用するための基盤(BaaS)」について技術検証を行う。

技術実証の概要

 「ソーシャル・バリアフリーマップ」は、同社の研究所が持つ地図技術を用いて、車いすなどに取り付けた加速度センサーなどの情報を取得・解析。段差・傾斜・移動の軌跡などを地図上にマッピングし、移動を支援するもの。

ソーシャル・バリアフリーマップ生成

 「パラメトリック地図」は、高度なカスタマイズやインタラクションを可能にした地図技術で、個々のユーザーの位置や属性に応じて、目的地、曲がり角などの目印のみを3D表示するもの。

パラメトリック地図技術によるナビゲーション

 「画像認識技術の屋内測位への応用」は、あらかじめ場所の画像を登録しておき、カメラで撮影した画像と参照画像を照合することでおおよその位置を検出するもの。たとえば天井看板をスマートフォンで撮影すると、現在地と目的地への行き方が分かる。

画像認識技術の屋内測位への応用

 「PUSH配信基盤技術による最適情報配信」は、クラウド上に構築したPUSH配信基盤を利用し、訪日外国人や車いすを利用する人へ、場所に応じた最適な情報をリアルタイムに配信するもの。たとえば災害発生時に緊急避難の誘導などが行える。数十万台の端末へ十秒以内に一斉配信できる仕組みを検証する。

 最後の「地図配信や測位情報を活用するための基盤(BaaS)」は、ユーザー情報やセンサー情報を集約し、共通APIを利用するだけでアプリケーションの構築などを可能にするもの。

 これまでこうしたナビの実現には、屋内地図やセンサーの整備・運用にコストがかかる点が課題となっていたが、低コストでの地図の作成や装置設置を伴わない測位の実現をめざすとしている。

川島 弘之