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大崎市民病院、40台の物理サーバーを仮想化で5台に集約

医療情報システムを稼働させる共通仮想化基盤を構築

 ネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は22日、宮城県北地域の基幹病院である大崎市民病院本院(以下、大崎市民病院)において、医療情報システムを稼働させる共通仮想化基盤を構築したと発表した。同基盤は、大崎市民病院が新築・移転した2014年7月から稼働しているという。

 大崎市民病院は、宮城県の「第6次宮城県地域医療計画」において、約30万人を対象とする大崎・栗原医療圏(栗原市、大崎市、加美郡、遠田郡)の、中核的医療機関に位置付けられている病院。従来、同院が運用する医療情報システムでは、サーバー、ストレージ、ネットワークといったICT基盤がシステムごとに個別導入されており、設備投資コストと運用管理負荷が大きな課題になっていたという。

 そこでネットワンは、EMCジャパンの「VSPEX」をベースにした事前検証済みの仮想化基盤パッケージを提案。これをベースに、電子カルテシステム(HIS)、医療用画像管理システム(PACS)、放射線部門システム(RIS)、検体検査部門システム、薬剤部門システムなど、医療情報システムごとに異なっていたサーバー、ストレージ、ネットワークを統合・集約し、全体最適化された医療ICT環境を実現する共通仮想化基盤を構築した。

 同基盤では、今回の新築・移転に伴って更新だった40台以上の既存物理サーバーを約9割削減し、5台のブレードサーバーに集約した。これにより、設備投資コスト削減と運用管理負荷の軽減を実現し、医療ICT関連費用の削減に成功したという。

 さらに、新病院に仮想化基盤および各種仮想サーバーを事前に構築しておくことで、移転に伴うシステム停止時間の短縮化(HIS停止時間:3時間)を達成。仮想化技術および遠隔モニタリングサービスなどの活用で、システムの可用性を大きく向上させ、より安全な医療の提供に貢献したとのこと。

 なお大崎市民病院では今後、物理サーバーで稼働している残り20種類の部門システムサーバーについても仮想化を予定。さらに約1300台ある医療情報システム端末を仮想デスクトップ化し、さらなるコスト削減と生産性向上を推進するとしている。

 このほか、本院と共通仕様の医療情報システムが稼働している鳴子温泉分院、岩出山分院、鹿島台分院の医療情報システムについても、仮想化を検討しているとのこと。

石井 一志