ニュース

NEC、「Express5800シリーズ」のブランドでクラウドサービスのパッケージを販売

 日本電気株式会社(以下、NEC)は2日、x86サーバーブランド「Express5800シリーズ」において、クラウドサービスをパッケージ化した「Express5800/CloudModel」(以下、CloudModel)を同日より販売開始すると発表した。また同時に、ラック型やタワー型の新製品3モデルも発表されており、いずれも2015年1月26日より出荷開始する。

 2014年で20年目を迎えたExpress5800シリーズは従来、x86サーバーのブランドとして展開されており、「2013年度は13万台を販売。18年連続でシェアNo.1を獲得してきた」(執行役員の石井正則氏)という実績を持つ。

 しかし今回提供されるCloudModelは、高信頼IaaS型クラウド「NEC Cloud IaaS」の仮想サーバーなどの利用権をパッケージ化したもので、ハードウェアではない。これについて石井執行役員は、「外部保有に適した業務システムから、順次クラウドの活用が進むとみており、オンプレミスとクラウドとのハイブリッド運用が主流になってくるだろう。しかし中堅・中小企業(以下、SMB)では仮想化によるシステム統合が精一杯で、クラウドには踏み込みにくい」と指摘。

 「そこで、クラウドサービスをパッケージ化してわかりやすくするとともに、Express5800シリーズで築きあげてきた信頼感や安心感を継承し、専門知識がないSMBでも安心して導入できるパッケージとして提供することにした」と、Express5800シリーズのブランドを使用した理由を説明する。

執行役員の石井正則氏
CloudModelの位置付け

 CloudModelでは、SMB向けの1/2ソケットサーバーの売れ筋構成を参考にNEC Cloud IaaSをパッケージ化しており、CPUやメモリ、OS、ディスク容量などの違いでコストパフォーマンス重視のスタンダードモデルを18種類、性能/信頼性重視のハイアベイラビリティモデルを32種類用意した。各パッケージには、ファイアウォール(10Mbps)やインターネット(10Mbpsベストエフォート)、統合運用監視など必要最小限の構成がセットになっており、それぞれの3年分の利用権を一括で提供する。

 ユーザーは、パッケージに同梱されたキー情報を登録し、クラウドのポータル画面でサーバーを作成すれば、すぐにクラウド環境を利用可能。3年分の利用権を一括で購入しているので、「あらかじめ価格が見える形での提供となり、確実に費用が固定されるので予算化しやすくなる」(プラットフォームビジネス本部長 浅賀博行本部長)のもメリットという。また、オンプレミスのExpress5800シリーズとNEC Cloud IaaSをクラウドのポータル画面から一元監視・管理できることから、運用の効率化も実現するとした。

 なお、種別ごとに価格が固定されているため、リソースを柔軟に拡張・縮小できるといったクラウドサービスのメリットは、このパッケージだけでは活用できないが、浅賀本部長によれば、別途料金でリソースを追加したり、通常のNEC Cloud IaaSへ移行したりするパスもあるとのこと。

CloudModelのパッケージを掲げる、プラットフォームビジネス本部長 浅賀博行本部長
CloudModelの概要

 一方、ハードウェアの新製品は、1U/2Uのラック型2ソケットサーバー「Express5800/R120f-1E」「同/R120f-2E」と、タワー型2ソケットサーバー「Express5800/T120f」をラインアップする。

 いずれも、最新のXeon E5-2600 v3シリーズを搭載し、性能を従来比で最大50%向上させたほか、NECの新デザインコンセプトに基づいており、視認性や保守性などの運用管理性を向上させているとのこと。

 あわせて、オンプレミスの従来型ハードウェアとNEC Cloud IaaSなどのクラウドサービスを連携した、ハイブリッドソリューションも順次提供していく予定。まず、Windows Server 2003のサポート切れも見据え、オンプレミスからクラウドストレージへのデータ移行を行う「ファイルサーバ移行ソリューション」を2015年1月より提供開始する。今後は、クラウドを利用したバックアップソリューション、BC/DRソリューションも提供していく予定だ。

ハードウェアの新製品
ハイブリッドソリューション

 NECでは、CloudModelやハードウェア製品のラインアップ強化などを継続して進め、今後3年間で累計50万台のExpress5800シリーズを販売したい考え。石井執行役員は「少なくとも、そのうちの1割をCloudModelにしたい」との目標を示した。

Express5800シリーズの強化方針

石井 一志