ニュース

富士通が「会津若松Akisaiやさい工場」を強化、新たな価値創造の場に

産学官の技術・人材交流を促進

 富士通株式会社は18日、食・農クラウド「Akisai(秋彩)」を活用した完全閉鎖型植物工場「会津若松Akisaiやさい工場」を、産学官の多様な立場の人材や技術が交流し、農商工医および教育分野と連携することで新たな価値を創造するオープンイノベーション拠点として強化すると発表した。

 主な取り組みは、「産学連携による機能性野菜の開発と市場の創造」「先進ICTソリューションによる新たなスマート農業の開拓」「未来の農業について考える授業を通じた次世代育成支援」。

低カリウム野菜の研究と市場開拓

 「産学連携による機能性野菜の開発と市場の創造」では、同社が生産・販売している低カリウムリーフレタスに加え、新たな低カリウム野菜を開発するための共同研究を、秋田県立大学と8月1日より開始した。同大学出身の研究者を同工場へ招聘するといった連携により、栽培方法を研究し実用化を目指す。

 また、2013年度に福島県立医科大学とともに実施した、透析患者における低カリウムリーフレタスの有用性に関する臨床試験の結果を基に、腎臓病医学の検知から各種学会で発表したり、全国各地の腎友会の場において説明を行ったりして、低カリウム野菜の市場創造に取り組む。

同工場に3つのITツールを導入

 「先進ICTソリューションによる新たなスマート農業の開拓」では、10月に同工場へ3つのツールを導入する。

 1つめは、さまざまな環境情報・経営情報を集約し経営判断を促す「環境経営ダッシュボード」で、同工場における生産・経営の全体最適化を目指す。2つめは、農作物の生産マネジメントシステム「JGAP」の導入・運用を支援する「智のWA!(ちえのわ)JGAP指導支援ツール」で、さらなる食の安全確保、野菜の品質向上を目指す。3つめは、ロット単位や生育途中での場所移動に対応する生育管理システム「食・農クラウド Akisai生育管理システム agis」で、これまでの生育管理機能の刷新と、播種から収穫までの流れの効率的な管理を実現する。

工場見学を通じて未来の農業のあり方を学ぶカリキュラム

 「未来の農業について考える授業を通じた次世代育成支援」では、「『会津若松Akisaiやさい工場』で学ぶ新しい農業」カリキュラムを提供する。同工場の見学を通して未来の農業のあり方を学ぶもので、同社グループ社員が講師となり、小学5年生を対象に授業を行う。

 1回目の授業は、2014年5月に福島県双葉郡大熊町から会津若松市へ避難中の大熊町立熊町小学校、および大熊町立大野小学校の5年生を対象に実施した。今後、福島県内を中心に同授業を展開し、次世代の育成に貢献するという。

川島 弘之