ニュース

大塚商会、消費税増税前の駆け込みとXP特需で上半期売上高は16.8%増の3324億円に

Windows Server 2003のリプレースは出足鈍くこれから本格化

大塚商会 代表取締役社長の大塚裕司氏

 株式会社大塚商会は、2014年度(2014年12月期)中間決算を発表。連結売上高は対前年同期比16.8%増の3324億1100万円、営業利益は同24.6%増の242億8600万円、経常利益は32.9%増の同247億96000万円、四半期純利益は同34.2%増の150億1600万円となった。

 大塚裕司社長は、「第一四半期は消費税増税前の駆け込み需要があり、第2四半期はその反動があるかと思ったが、予想よりも落ち込みは少なく堅調に推移した」と消費税増税前の駆け込み需要が上半期決算にはプラスに影響したと指摘。Windows XPのサポート終了に伴うパソコン需要についても、「かつてない好環境を生かすことができた」と需要取り込みが成功だったと分析し、第2四半期についても「駆け込み需要の反動を心配していたが、需要はダラダラと継続している」と乗り換え需要が続いていると分析した。

2014年1月~6月期業績の概要
連結 売上高・利益の概況

 ただし、通期見通しについては、第1四半期の決算発表時に上方修正を行ったが、それ以上の上方修正は行わず、売上高は前年比6.3%増の6000億円、営業利益は同9.1%増の370億円、経常利益は同11.9%増の375億円、当期純利益は同8.4%増の219億8000万円と慎重な見通しとした。重点ビジネスとしてWindows Server 2003からの移行を挙げ、「最後の1プッシュとなる魅力的な提案を行い、需要を拡大する」と需要喚起に強い意欲を見せた。

 大塚商会単体の2014年度(2014年12月期)中間期は、売上高は前年同期比16.9%増の3088億4000万円、営業利益は同23.7%増の220億1000万円、経常利益は同23.9%増の226億3200万円、四半期純利益は同20.9%増の138億4900万円。

 大塚社長は、「今年度は、初めて第1四半期の決算発表時に上方修正を行った。第1四半期の業績は消費税増税前の駆け込み需要で大きく盛り上がった。3月は盆暮れ正月が合わさったような活況であったが、販管費は増加傾向にある。これは人件費、物流費増加のため。人件費は、ずっと前年比減を続けてきたが、そろそろ限界に達したという見通しから、4月の新卒入社を300人とり、前年を90人上回る体制とした。物流費は3月の特需の対応のため配送センターの新設、トラックの増強を行った影響によるもの」と説明している。

 また、今回の決算では、第1四半期が消費税増税直前で、Windows XPのサポート終了切れ直前と2つの特需が重なったことを受け、第2四半期の連結、単体の業績を切り出して紹介。連結売上高は前年同期比8%増、単体売上高は同7.5%増で前年に比べて大きな落ち込みとはなっていない。

 「計画では対前年比微減と見ていたが、特需がダラダラと続いた影響で、想定よりもプラスとなっている。単体の営業利益がマイナスとなっているが、これは前年が子会社の不祥事で営業を大幅に強化した影響によるもの」と第2四半期は予想よりも好調な数字となっている。

2014年4~6月業績の概況
連結売上高 四半期推移
連結経常利益の四半期推移

 連結のセグメント別売上高は、システムインテグレーション事業は前年同期比24.8%増の2100億400万円、サービス&サポート事業が同5.3%増の1222億1600万円、その他の事業が同43.5%減の1億9000万円。

 単体での詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が前年同期比27.1%増の1663億6800万円、受託ソフトなどが同17.9%増の218億9600万円、サプライが同5.6%増の614億3500万円、保守などが同4.7%増の591億4000万円。「心配していたコピー保守も微増となっている」(大塚社長)。

連結 セグメント別売上高
単体 詳細セグメント別売上高
単体 詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移

Windows Server 2003のリプレース商戦に強い意欲

 重点戦略事業は、オフィス用品販売の「たのめーる」が前年同期比0.2%減の302億4600万円、オリジナル業務アプリケーション「SMILE」が同1.1%減の36億5000万円、ドキュメントソリューションの「ODS21」が同4.3%減の128億1200万円、セキュリティソリューション「OSM」が同2.1%減の126億2800万円。

 複写機は前年同期比0.3%増の1万904台で、このうちカラー複写機が同1.7%増の9826台。サーバーは12.0%増の1万278台、パソコンは20.3%増の22万5321台。パソコン、サーバーについては1992年からの販売台数の推移を公開し、「Window XPも最後の駆け込みで需要が伸びた。Windows Server 2003についてはサポート切れの周知が進んでいないこともあって、リプレース需要の本番はこれからになる。ただし、サーバーはクライアントであるパソコンとは異なり、リプレースには時間がかかるため、サポート終了前にリプレースするためにはそろそろタイムリミットとなる。告知を広く行うと共に、お客さまがメリットと考えてくださるようなメリットを示して、リプレースの最後の一押しとなるような提案を行いたい」とこれから本格化するWindows Server 2003のリプレース商戦に強い意欲を見せた。

 また、「これこそ大塚商会の最大の強み」としてサプライ+契約保守売上高からなるストックビジネスの推移について、「ストックビジネスこそ、社員を増やさず売り上げを伸ばす源泉。今後はWindows Server 2003からの切り替え需要がキーになる」と引き続き、ストックビジネスに注力していく姿勢をアピールした。

単体 重点戦略事業の概況
パソコン、サーバーの販売台数推移
単体 たのめーる年次推移
大塚商会のトータルサポート
単体 ストックビジネスの推移
コピー用紙、一日当たりの出荷トン数増減率の月次推移

 通期見通しのセグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比8.0%増の3584億7000万円、サービス&サポート事業が同4.0%増の2411億7000万円、その他の事業が同45.3%減の3億6000万円。

 通期見通しの重点目標としても、「第1四半期以降減速はしたもののお客さまの需要は堅調。Windows XPの買い替え需要で盛り上がった上半期から、下半期はWindows Server 2003のサポート終了に向け、魅力ある提案を行っていく」とWindows Server 2003のリプレースが鍵となるとした。

 また、大塚社長は中小企業のIT需要の見通しとして、「これまで経費削減をアピールしてきたが、日本企業にはIT活用による生産性向上をもっと進めることができる。タブレットを使って、外から業務を行う、中小企業には導入が進んでいないユニファイドシステムの活用など、われわれがやるべき提案はまだまだある」と中小企業向けITビジネスにビジネスチャンスはまだ多数残っているとの見方を示した。

連結 売上高・利益の計画

三浦 優子