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KLabとIDCフロンティア、長距離TCP通信を50%高速化するソフトをOSSで公開

 KLab株式会社と株式会社IDCフロンティアは25日、海外との通信を最大50%以上高速化するソフト「AccelTCP(アクセルティーシーピー)」を、オープンソースソフト(OSS)として公開した。両社では、2013年12月から共同で「モバイルオンラインゲームの海外展開向け配信ソリューション」の研究に取り組んできたが、「AccelTCP」はその中間成果として公開される。

 「AccelTCP」は、通信遅延が大きい長距離ネットワークにおいて、TCP通信を高速化するプロキシサーバー型のソフト。日本国内のデータセンターに構築されたシステムから海外のユーザーに対し、モバイルオンラインゲームを安定した品質で配信できることを実証する目的で開発された。

 具体的な手法としては、プロキシサーバー間で、あらかじめ確立されたTCPコネクションを再利用する「コネクションプーリング」を採用する。これを行うことで、TCPコネクションの確立時に発生する3Wayハンドシェイクのオーバーヘッドを削減し、比較的小さなデータのやりとりを行う通信の待ち時間を大幅に短縮可能。またプロキシサーバー間のTCP通信は、ウインドウサイズなどのTCPパラメータをネットワークの特性に合わせ最適化することにより、データ転送効率が大きく向上する。

 プロキシサーバー型を採用することによって、クライアントおよびサーバーサイドのプログラムを改修することなく利用できる点が大きなメリット。またプロキシサーバーの設置により通信区間が分割され、各通信区間の往復遅延時間が減少するため、パケット消失時の再送時間の短縮につながり、通信全体の高速化が期待できるとした。

 プロキシサーバー間の通信はSSL/TLSにより暗号化され、安全にやりとり可能。SSLオフロード機能も搭載しているので、SSL非対応サーバーのSSL化や、サーバーからSSL処理を分離することにも対応する。

 今回の開発にあたっては、KLabがこれまでに開発した、ゲームのトラフィックを分析し、高頻度で発生する通信に最適化した設計を実施しており、ゲーム内で発生する通信の待ち時間を、最大で50%以上短縮できるという実験結果が得られたとのこと。

 なお、Linux(Kernel 2.6.32)および Mac OS X(10.9.2)にて動作を確認している。

石井 一志