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ネットアップ、FASストレージ内のデータをiPhone・iPadからセキュアに利用できるソリューション

 ネットアップ株式会社は5日、ネットアップ製ストレージ内に保存されたデータに、iPhoneやiPadといったiOS端末からセキュアにアクセスできるソリューション「NetApp Connect」を発表した。

 NetApp Connectは、ネットアップのストレージを利用している企業が、iOSデバイスからデータを安全に利用するためのソリューション。米NetAppが2月に買収した米ionGridの技術を利用し、VPNの複雑な設定を行ったり、追加の認証システムを構築したりすることなく、社内のネットアップストレージ内に格納されたデータを、安全に社外から閲覧することができるという。

 ネットアップ システム技術本部 エバンジェリストの河西学氏は、「ファイル共有による情報流出をどう食い止めるかが、IT部門での課題になっている。Dropboxのような既存のサービスを使わせないように制限してしまう例も多いが、それでは利便性を損なうため、(この問題解決に対しては)決め手を欠く企業が多いのが現実」と指摘。NetApp Connectであれば、こうした課題を解決できるとアピールする。

 その大きな特長は、ユーザー企業内の既存システムに大きく手を加える必要がない点と、利用後、モバイルデバイス内にデータを残さない点だ。ネットアップ マーケティング本部 戦略企画推進室 室長の篠木隆一郎氏は、「データは安全な環境に保管されたままデータを参照するので、万一、端末を紛失しても情報の漏えいはしない。さらに、外部に公開するデータの場所を移したり、別のシステムをセットアップしたりする必要がないので、IT管理者にもメリットがある」と、その長所を具体的に説明した。

ネットアップ マーケティング本部 戦略企画推進室 室長の篠木隆一郎氏
NetApp Connectの特長

 利用にあたっては、iPhone/iPadには、App Storeからアプリをダウンロードした上で、社内の環境にNetApp Connect Serverを、DMZに仲介役となるNetApp Connect Brokerのサーバーを立て、それらを介してiPhone/iPadとNetApp FASストレージの間でデータをやり取りする仕組み。技術的には、Advanced Message Queuing Protocol(AMQP)を用いた非同期メッセージパッシングアーキテクチャを採用している。

 また、ネットアップストレージだけでなく、Citrix ShareFile、VMware Horizon Workspaceといった他社のサービスとも連携可能で、これらの環境内に保存されたデータも、同様に扱えるとのこと。

 対応するiOSのバージョンは5以降。共有可能なファイル形式は、テキストファイル、Word、Excel、PowerPointを含めたMicrosoft Officeファイル(Office 2003までの形式にも対応)、PNG/JPEG/GIF/BMPなどの画像ファイル、映像ファイルなどで、「ビジネスで取り扱うことの多いファイルはほとんどサポートしている」(河西氏)とした。なお、Androidについてもサポートを予定している。

サポートするファイル形式
NetApp ConnectでPowerPointファイルを共有しているところ。資料へのマーキングも可能

 実際に、NetApp Connectの発売前のデモバージョンを大手金融機関に案内したところ、NetApp Connectはとても評判が良かったとのこと。その理由を篠木氏は、「金融機関ではすでに、機密データを管理する仕組みが作り上げられているが、一方で現場営業は、どうしても現場にデータを持って行きたいというケースがあり、NetApp Connectでそれを解決できる」と説明。

 さらに、「また金融機関には膨大な金融商品があるので、カタログの種類も膨大で、かつ、ひんぱんにアップデートされる。それをデバイスに順次配信するのではなく、マスターデータだけを更新すれば反映されるし、セキュリティも担保できる」と述べ、文書管理の上でも効果があるとした。

 参考価格は、FASコントローラに対してライセンスが付与される形となり、FASコントローラ1つの場合で100万円程度から。利用するユーザー数には特に制限がない。

石井 一志