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デル、垂直統合型のアプライアンス製品「Dell Active Infrastructure」

 デル株式会社は2日、垂直統合型のアプライアンス製品「Dell Active Infrastructure」を、同日より販売開始すると発表した。出荷は8月2日の開始予定。

 Dell Active Infrastructureは、ITサービスを実装する事前統合型システム「Active Solutions」と、統合管理ソフト「Active System Manager」で構成される垂直統合型ソリューション。デルのコンバージドインフラストラクチャ製品のファミリーネームであり、体系だと位置づける。

 従来に比べて6倍早く新たな仮想化インフラを実装するなど、ITサービスのデプロイを加速し、データセンターの効率化や、ITサービスの品質向上を図ることが可能。小規模から大規模までのプライベートクラウド構築のソリューションとして利用できるほか、データセンター事業者やSIer向けのホスティングパッケージとしても活用できる。

 デル エンタープライズ・ソリューション統括本部長の町田栄作執行役員は、「スケールアップでは、ベンダーロックインになること、TCOが下がらないという課題がある。また、スケールアウトではサイロになりがちで、運用管理が煩雑になるという課題があるなど、どちらの手法にも一長一短がある。デルは、新たにアクティブスケールという新たなITデプロイメントモデルによって、ITサービスを柔軟かつ機敏に提供していく。これによって、スケーラブルで、オープンで、標準化した環境を提供できる。他社のハードウェアをサポートするマトリクスも提示し、ヘテロジニアスな環境でも対応できる」などと述べた。

デル エンタープライズ・ソリューション統括本部長の町田栄作執行役員
第3のITデプロイモデル、アクティブスケール

 Dell Active Infrastructureの特徴は、多様なユースケースに対応するスケーラブルな要素で構成され、一般的なストレージプロトコルのすべてに対応するファブリック統合機能を備えている、モジュラー型インフラである点だ。また、シンプルで直感的に使える統合ツールにより、インフラの統合管理機能を提供する。

 また用途としては、プライベートクラウド、仮想デスクトップ(VDI)、エンタープライズアプリケーションなど、特定ITサービス向けに最適化したソリューションリファレンスアーキテクチャとして提供するものとなる。

 米Dell Dell Converged Solutions エグゼクティブ・ディレクタのナリマン・テイモウリアン(Nariman Teymourian)氏は、「Dell Active Infrastructureは、Dellが推進するアクティブスケールの考え方の中核となるもの」と前置きした上で、「Active Solutionsは、検査済みのワークロードソリューションを提供するものであり、VDIやプライベートクラウドのワークロードを動かすことができる」と述べた。

 また、「Active System Managerについては、これまでGale Forceと呼ばれていたもので、テンプレートベースのプロビジョニングを実現し、自動化されたワークロードをITサービスとして提供するものになる。Active Systemsは、サードパーティーの製品を含めて一元的に管理し、動作させるハードウェア部分。これによって、Dellは他社製品まで広くサポートすることに踏み出す。Active Solutionsは、管理機能が一元化されていること、そして、ワークロードをリファレンスアーキテクチャとして提供することで迅速に展開できることが、他社にはない特徴」とした。

 なお、テイモウリアン氏は、Dellが2012年に買収したGale TechnologiesのCEOを務めていた人物。同氏は説明のなかで、Dell Active Infrastructureでは、ラックあたりの計算ノードは他社に比べて2.3倍多く、シャーシあたりのバンド幅は6倍広く、従来に比べて99%少ない工程数で複雑な仮想化クラスタを展開できること、また90カ国において4万2000人以上の専任プロフェッショナルが顧客をサポートしている強みなどを強調した。

米DellのDell Converged Solutions エグゼクティブ・ディレクタ、ナリマン・テイモウリアン氏
Dell Active Infrastructureの概要
Dell Active Infrastructureの構成要素

 また、デル マーケティング統括本部エンタープライズサービス&ソリューションマーケティング本部サーバブランドマネージャの木村一仁氏は、「日本では、大手・中堅企業の部門別のプライベトクラウド構築ソリューションとしての提案を進める。また、データセンターやホスティングパッケージとしての引き合いもきている」とした。

 ラインアップは、中小企業向けの小規模ラック製品「Active System 50」が895万円から、スケーラブルラックの「Active System 200」が1988万円から、スケーラブルブレードの「Active System 800」および大規模スケーラブルブレードの「Active System 1000」は個別見積もりとなっている。

 Active System 50、同200、同800は、PowerEdgeおよびEquallogicを採用。Active System 1000は、PowerEdgeおよびCompellentを採用。すべての製品に、プロサポートプラスが付属する。

デル マーケティング統括本部エンタープライズサービス&ソリューションマーケティング本部サーバブランドマネージャの木村一仁氏
製品ラインアップ
スケーラブルブレードのActive System 800

 一方、町田執行役員は、「デル日本法人は今年創業20周年、Dellは創業29年目を迎えている。企業の存続は約30年と言われるが、その節目にきている。Dellは、株式非上場化などにより、プライベート化するという点でも企業の大きな変換点になるといえよう。Dellは、PCのBTOからスタートした企業だが、現在では、エンド・トゥ・エンドでIT基盤を提供する準備が整った。3年間で約1兆円を戦略的に投資し、そのうちの半分がソフトウェア。これによって、ソリューションを拡充してきた。今後も、IT市場において、標準化をドライブし、オープンを追求し、ITの自動化を進めていくことになる」などとした。

 さらに、「Dellはお客さまとの対話が、年間20億回に達している。第12世代PowerEdgeも、17カ国7700社のユーザーの声を反映して開発したものである。顧客から得た直接の声を、製品、サービスに役立たせることが今後もデルの強みになる」と述べ、顧客の声を十分に反映している点を強調している。

大河原 克行