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相次ぐ新設、今後もデータセンターへの投資は堅調に拡大~矢野経済研調査
(2013/2/22 14:24)
矢野経済研究所は22日、「データセンター事業に関する調査結果 2013」を発表。2012 年から2013 年にかけてデータセンターの新設や増床が多く行われた結果、2013年3月末の国内データセンター総床面積は大きく伸長し、前年同月比108.8%の216万4000平方メートルに。2011年3月から2017年3月までの年平均成長率(CAGR)は4.6%で推移し、2017年3月末には250万8000平方メートルに達すると予測した。
IT事業者によるデータセンターへの投資が堅調な理由としては、(1)事業継続対策や法規制への対応を目的に堅牢性が高くセキュリティ対策が万全なデータセンターを求める企業が増加していること、(2)サーバー台数増加への対応や消費電力の削減を目的にデータセンターにサーバーを移行する企業が増加していること、を上げる。
スマートフォンの利用拡大などにより画像や動画データが普及し、ユーザー企業が扱うデータ量が増加しており、処理能力向上のためにサーバー台数が増加。増加したサーバーをデータセンターへ移行する企業が増えている。また、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(環境確保条例)の影響もあり、企業も消費電力削減への意識を高めているため、そうした環境面への対応を自社で行うよりもデータセンターに集約させた方が効率的であると考える企業が増加していると分析している。
首都圏の総床面積は堅調に増加、地方は微増にとどまる
また、地域別では、2012年3月末の首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に立地するデータセンターの総床面積を 117万3642平方メートル、他道府県(地方)に立地するデータセンターの総床面積を81万5581平方メートルと推計。構成比で見ると、首都圏が約59%、地方は約41%となった。
首都圏のデータセンターの2011年から2012年の総床面積は堅調に増加したが、その理由としては、首都圏では、大口ユーザーである大手ユーザー企業からの底堅い需要が存在していることを上げている。大手企業では、緊急時に自社の情報システム部員が駆け付けることができる首都圏の立地を求めている企業が多く、今後もその傾向は変わらないとして、大口顧客である大手企業からの安定需要を見込んで、IT 事業者は2013年以降も首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)のデータセンターへの投資を増加させていくと予測している。
一方、地方のデータセンターの 2011 年から 2012 年の総床面積は、微増にとどまった。
クラウドコンピューティングサービスは、低価格を強みとするため、建設コストや運営コストの低い地方のデータセンターが適している。さらに震災以降、企業の事業継続に対する意識が高まり、首都圏のセンターから距離のある地方のデータセンターをバックアップセンターとして活用するユーザー企業が増えていくと期待されていた。
こうした背景から、近年、クラウドコンピューティングの本格的な普及を見込み、地方にデータセンターを建設するIT事業者が増加していたが、長引く景気の低迷の影響による企業のIT投資予算の縮小により、期待されていたよりもクラウドコンピューティングサービスや事業継続サービスの普及が進まなかったことから、地方のデータセンターへの需要拡大を見込みづらくなってきており、IT 事業者による地方のデータセンターへの投資は、今後は微増にとどまると予測している。
海外については、日系企業の海外進出の増加に伴い、海外現地でのサービス提供を目的として、海外にデータセンターを建設する IT 事業者は増えていくと予測している。