EC向けクラウドサービス間の連携機能を提供する「FUSION iPaaS」


サービスイメージ

 楽天グループの通信事業会社であるフュージョン・コミュニケーションズ株式会社(以下、フュージョン)は9日、株式会社オージス総研と共同で、EC向けクラウドサービス間の連携機能を提供するインテグレーションPaaS(iPaaS)「FUSION iPaaS」の提供を開始した。

 iPaaSとは、「クラウドサービス間またはクラウドサービスと企業内システムの連携を実現するためのPaaS」(同社)で、連携に必要なメッセージのルーティング、データ/プロトコル変換機能、アプリケーション連携の順序を記述した統合フローをクラウド上で実行する環境を提供するものだという。

 FUSION iPaaSの中核には、オージス総研が国内で販売・サポートしているオープンソースのESB(Enterprise Service Bus)「Mule ESB」を採用。Mule ESBの持つ柔軟なデータ/プロトコル変換機能により、クラウドサービスのWeb APIを簡素に使いやすく変換することで、シンプルな接続性を実現している。また、その柔軟性・拡張性により、例えばiPaaS経由で接続するWeb APIに仕様変更があった場合も、iPaaSで差分を吸収し、Web APIの各モジュールやサービスを制御、企業内システムのプログラム修正を不要にするなど、クラウド連携を効率的に維持・管理する仕組みが備わるという。

 FUSION iPaaSサービス提供の第1弾として、楽天市場の店舗運営システム「RMS(Rakuten Merchant Server)」のAPIと楽天市場出店企業の自社システムをセキュアに連携するサービスを提供する。これにより、楽天市場出店企業はRMSと自社システムのデータ連携上のセキュリティを強化しつつ、RMS APIに対応する開発・運用コストの削減、開発期間の短縮が図れるようになるという。

 今後の展開としては、楽天出店企業のニーズを踏まえ、さまざまなクラウドサービスの連携を簡単に実現できる機能を実装するほか、クラウドサービス間のみならず、SAPなどのオンプレミスシステムとの連携機能も実装していく計画としている。

 一方、オージス総研では、従来より手がけてきたSOAなどのシステム設計構築手法とMule ESBを活用することで、EC分野にとどまらず、広く企業システムのクラウド対応を進め、持続可能なITシステムの構築支援をさらに強化する計画としている。

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(川島 弘之)
2012/10/10 06:00