日本HP、複数の手法をミックスして使える重複排除バックアップソリューション「StoreOnce Catalyst」

バックアップから管理、リストアまでを完全に統合


StoreOnce Catalyst

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は19日、バックアップ製品「HP StoreOnce Backup Systemファミリ」のラインアップに、バックアップアプライアンスとソフトウェアを連携させた重複排除バックアップソリューション「HP StoreOnce Catalyst」を追加すると発表した。

 増大するデータ量に対応するために、保存するデータ量を削減可能な重複排除(重複除外)技術が一般化しているが、重複排除をどこで行うかによって、「ソースサイド」「サーバーサイド」「ターゲットサイド」の大きく3つに分類できる。

 具体的には、「ソースサイド」はアプリケーションが動作するサーバー側で重複排除を行う手法、「サーバーサイド」は一度バックアップサーバーにデータを集約してから重複排除をする手法、「ターゲットサイド」はバックアップストレージ側で重複排除をする手法で、それぞれ一長一短があり、製品ごとにアプローチが分かれているのが現状だという。

 日本HPでも、2011年より提供されているバックアップアプライアンス「StoreOnce」ではターゲットサイドでの重複排除を、7月3日に発表されたバックアップソフト「Data Protector software 7」ではソースサイド/サーバーサイドでの重複排除を実現しているが、これが統合されて3つの手法すべてに対応でき、それが一元管理できれば、ユーザーにとっての利便性が上がるのは間違いない。

 今回、それを実現したのが「StoreOnce Catalyst」である。Data Protector software 7と、StoreOnceの最上位モデルである「StoreOnce B6200」を連携させることにより、3つの手法から最適なものを選んで、あるいは複数の手法を組み合わせて、重複排除バックアップを行えるようになる。

 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング部 担当マネージャーの諏訪英一郎氏は、「現在、主流の手法はターゲットサイドでの重複排除処理だが、これはネットワークへの負荷が大きくなるという課題があった。ここで、例えば、ターゲットサイドでの重複排除処理を一部ソースサイドへ移動(オフロード)させることにより、帯域幅の削減が可能になるほか、アプライアンス側の負荷も軽くなる」と、このメリットを説明する。

 実際に、StoreOnce B6200では最大40TB/時のバックアップ、40TB/時のリストア性能を提供でき、この時点でも競合製品と比べて高い性能を持っているが、重複排除処理のオフロードにより、最大では競合製品の約3倍となる100TB/時まで、処理能力の向上が可能になったという。


一般的な重複排除の手法とメリット・デメリットStoreOnce Catalystでは、3つの手法を必要に応じてミックスして使える

 さらに日本HPでは、「バックアップの運用で最も重要なのはリストア。重複排除したデータを一元的に管理し、トータルに管理して、容易にリストアできることが大事」(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ本部 製品マーケティング本部の宮坂美樹部長)という点を考慮。3つのうちどの手法を使ったとしても、管理やリストアを一元的に行えるようにしている。

 これが「StoreOnce Catalyst」の重要な点で、宮坂部長は、「他社でも複数の製品を連携させて、一元管理できるかのようにうたっている製品はある。しかし、当社では3つの手法のどこでも共通の重複排除技術を利用しているため、データを移動させる場合の再構成が必要ないが、他社では別々の技術を使っているので、一度データを再構成しないと移動ができない。これは本当の一元管理だ」と、その差を強調した。


競合ベンダーとの比較エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ本部 製品マーケティング本部の宮坂美樹部長

 なお「StoreOnce Catalyst」を実現するには、ハードウェアのStoreOnce B6200と、ソフトウェアのData Protector software 7、あるいはSymantec NetBackup/Backup Exec、そしてハードウェア/ソフトウェアを連携させるためのアドオンが必要。アドオンは300万円(税別)で提供される。なおSymantecのソフトウェアを使う場合でも、重複排除技術は日本HPのものを利用する。

 販売対象としては、対応ハードウェアのStoreOnce B6200がハイエンド製品であることから、当初は直販によるエンタープライズ市場を中心に展開される予定。ただし、今後は中・下位のStoreOnce製品にも対応する予定で、その場合はパートナー経由を含めて、中堅・中小企業にも広く展開されることになる。

 「当社は以前からテープ装置を手がけており、そこへの取り組みも継続するが、大量のデータをバックアップしなくてはならない企業などへ、ディスクバックアップを拡販する。今後3年間でディスクバックアップの売り上げを3倍にしたい」(宮坂部長)。


StoreOnce Catalystの利用例。データセンター内でのバックアップ環境統合(左)だけでなく、リモート拠点も含めた全社レベルでの統合(右)も視野に入れる
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