EMCジャパン、日本市場に向けたストレージ新製品戦略を発表

第1弾としてエンタープライズ・ストレージ「VMAX」と仮想化ストレージ「VPLEX」の新モデルを投入


 EMCジャパン株式会社は8日、米ラスベガスで5月21日~24日に開催した年次カンファレンス「EMC World」で発表されたストレージ製品戦略を受けて、日本市場への展開に関するプレス説明会を開催した。あわせて、日本市場向け製品展開の第1弾として、エンタープライズ・ストレージ・ファミリ「EMC Symmetrix VMAX」(以下、VMAX)、および仮想化ストレージ「EMC VPLEX」(以下、VPLEX)の新ラインアップを本日より販売開始すると発表した。


EMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏EMCのトータルソリューション

 EMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏は、同社の目指す製品戦略について、「今後、企業のIT環境では、プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせて使うハイブリッドクラウドが普及すると見ている。また、これにともないアプリケーションへの依存度が低減し、データの重要性がさらに高まることが予測される。こうした市場背景の中、今回の『EMC World』では、ほぼすべての製品ラインアップを刷新し、42の新製品および新バージョンが発表された。パブリッククラウド事業者向けに、よりハイエンドで大容量の製品を展開する一方で、企業が仮想化やプライベートクラウドを構築しやすい製品群も強化していく」との方針を述べた。

 日本市場向けの製品展開としては、まず第1弾として、本日よりエンタープライズ・ストレージ・ファミリの新ラインアップ「VMAX 40K/20K/10K」、および仮想化ストレージ「EMC VPLEX」の新モデルを販売開始する。そして、6月中旬にはスケールアウト型ストレージ「EMC ISILON X400/NL400」、7月中旬には重複排除ストレージ「EMC Data Domain DD990」、重複排除ソフトウェア「EMC Avamar 6.1」、パートナーとのパッケージ製品「EMC VSPEX」と、新製品を続々リリース。さらには、今年第3四半期中に、ユニファイド・ストレージの新モデル「VNX3150」、今年後半に、ISILONの最新版OS「OneFS Mavericks」を販売開始する計画を明らかにした。


EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 統括部長の永長純氏「VMAXファミリ」の新ラインアップ

 「VMAXファミリ」の新ラインアップは、「VMAX 10K(旧Symmetrix VMAXe)」、「VMAX 20K(旧Symmetrix VMAX)」と、今回新たに加わったハイエンドモデル「VMAX 40K」の3モデル。EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 統括部長の永長純氏は、「特に、新開発のハイエンドモデル『VMAX 40K』は、エンタープライズ・ストレージ市場において、パフォーマンス、容量、スケールともに他社の追随を許さない性能を実現。競合製品と比較して最大3倍のパフォーマンス、2倍以上の利用可能容量を提供するほか、帯域幅も2倍以上の性能となり、システム全体の処理能力を向上している。また、2.5インチのSASドライブおよびMLC(eMLC)フラッシュ・ドライブをサポートし、2.5インチ3200ドライブ8ストレージベイという高密度構成も可能。これにより、ドライブ数33%増、総重量35%減、設置領域33%減。消費電力27%減を実現する。さらに、システムベイを最大25m離れた場所に設置できるため、設置スペースの効率化も図れる」と、ハイエンドモデル「VMAX 40K」の機能強化ポイントを説明した。

「VMAX 40K」の高密度構成「VMAX 40K」による設置スペース効率化

 「VMAXファミリ」新ラインアップの主な強化点としては、GUIのルックアンドフィールを共通化した新しい管理ツール「Unisphere for VMAX」を提供し、「VMAXファミリ」の運用管理を合理化・簡素化。EMCユニファイド・ストレージと同様のユーザーインターフェイスでの運用管理が可能となった。また、新機能FTS(Federated Tiered Storage)を無償提供。外部アレイを「FAST VP(Fully Automated Storage Tiering for Virtual Pools)」の容量プールとして使用できるほか、信頼性の高い「Symmetrix」の機能を使用して外部アレイ用のデータに対する保全性の保証を実現する。さらに、「FAST VP for VMAX」でIBM System z メインフレームとIBM i サーバーをサポート。「VMAX」のOS「Enginuity」の機能も大幅に強化している。

 一方、「VPLEX」の新モデルでは、OSの機能強化によって、従来バージョンより40%のパフォーマンス向上、2倍の拡張性を実現。新たに「VMware vSphere Storage APIs for Storage Awareness(VASA)」および「VMware vSphere Storage APIs for Array Integration(VAAI)」との統合をサポートしている。また、新モデルと「EMC RecoverPoint」との組み合わせにより、アクティブ/アクティブ データセンターと別サイトの災害復旧(DR)保護環境を統合した業界初の高可用性3サイト・データセンター保護ソリューションを提供する。

 なお、今後発売される新製品の主な強化ポイントについて山野氏は、「ユニファイド・ストレージ『VNX3150』では、ラック・ユニットあたり50%のパフォーマンス向上と容量増大に対応。スケールアウト型ストレージ『ISILON X400』では、従来型のNASに比べて20倍の高速化を実現する。重複排除ストレージ『Data Domain DD990』については、当社の既存製品に比べスピード・容量を2倍に向上。そして、新たに提供する『VSPEX』は、当社が実証済みの製品をパートナーがパッケージ化して販売するソリューションとなっている」とし、今後の製品リリースにあわせて順次、詳細情報を公開していく考えを示した。


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(唐沢 正和)
2012/6/11 06:00