日立とマイクロソフト、グローバルなクラウドソリューション提供に向けて協業

~ジャパン品質の安心・安全をグローバルかつ迅速に


株式会社日立製作所 執行役常務 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEO 佐久間嘉一郎氏(左)とマイクロソフト株式会社 代表執行役社長 樋口泰行氏(右)

 株式会社日立製作所と日本マイクロソフト株式会社は4月13日、共同記者会見を開催。日立のHarmonious Cloudのグローバル対応の強化と幅広い顧客ニーズへの対応を目指し、Harmonious Cloudとマイクロソフトのパブリッククラウド「Windows Azure Platform」を連携させたクラウドソリューション提供に向けて提携したと発表した。

 株式会社日立製作所 執行役常務 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEO 佐久間嘉一郎氏は、「クラウドの拡大に伴い、企業ITシステムでのクラウド利用は、基幹システムと連携した活用へと発展しつつある。事業をグローバル展開する日立の顧客企業からも『海外に業務データを置きたくない』、『グローバルなパブリッククラウドを利用した場合、現地サポートや品質が心配』といった要望をいただくようになった」と提携の背景説明。

 佐久間氏は、「ジャパンクオリティのサービスをグローバルで提供することは、日立1社でも不可能ではないが、日立が長年培ってきた信頼と、安全・安心と、マイクロソフトのAzureが持つグローバルプラットフォームと迅速さの“いいとこ取り”が要望に合わせて提供することを目指して今回の提携に至った」と述べた。

 日立の顧客企業では、マイクロソフトプラットフォームベースの既存IT資産を有効活用したいという企業は、Azureを前提として考えている企業も少なくないという。

グローバル展開している日立の顧客から寄せられる要望マイクロソフトとの連携により「IT投資効率の向上」と「安心・安全なクラウド利用」という2つの価値の提供を目指す開発・人材なども含めた包括的クラウドビジネス提携となる

 マイクロソフト株式会社 代表執行役社長 樋口泰行氏は今回の提携について、日立のクラウドとマイクロソフトのAzure、両社のクラウドそのものを連携させるもので、パートナークラウドとはまったく異なるものだと説明。また、NECとの提携との違いについての質問には、「NECの場合は業種別のバーティカル分野での協業であり、今回は、クラウドとクラウドを連携させるため、両社はまったく異なる」と述べた。

 「両社のデータセンターでデータセンター、クラウドとクラウドを連携させる、ハイブリッドクラウドというべきもの。ワールドワイドで見ても、Azureとこの規模のクラウド連携はこれまでに例がない」と述べ、マイクロソフトとして初となる規模のクラウド連携であるとした。

マイクロソフトと日立の提携の歴史日立のHarmonious CloudとマイクロソフトのAzureという大規模なクラウド基盤同士を連携させる“Japan Quality”を世界に提供する


 両社が提供するハイブリッドクラウドでは、両社の資産を生かして(1)重要な業務データは日本国内に保管する、(2)高速かつ安全な情報連携、(3)海外拠点の近くでの現地サポートの提供の3つを実現する。

 (2)の高速かつ安全な情報連携では、日立のWAN高速化装置「日立WANアクセラレータ」により高速な通信を実現し、マイクロソフトのAzureの安全なWAN接続機能「Azure Connect」を利用することで、両社のクラウド間連携における安全な情報連携が可能になるという。

 (3)のグローバルな現地サポートについては、マイクロソフトと日立のグローバルなサポート基盤を活用し、海外拠点の近くにサポート窓口を設けることで、現地での障害切り分けや問い合わせなどに対する早期対応、日本国内にいるシステム管理者との連携を迅速に行える体制を整える。

ハイブリッドクラウドソリューションの概要「IT投資効率の向上」への対応既存IT資産を有効活用できるハイブリッドクラウド


「安全・安心なクラウド利用」への対応両社の技術でセキュアで高速なアクセスを担保、海外でも迅速な現地サポートの提供を目指す導入検討から運用・サポートまでをワールドワイド、かつワンストップで提供する

 提携の効果について、マイクロソフト樋口社長は、「基本的にHarmonious Cloudに連結しているので、数々のクラウドの案件の中から、最適なソリューションを選択いただけるようになる。拡張性、グローバル性、コストなどAzureの特徴とする部分を要求する顧客企業については、日立さんの営業力にコバンザメのようくっついて(笑)、Azureの方もお使いいただけると期待している」とユーモアを交えて期待を述べた。

 また日立の佐久間氏は、「顧客企業からは、基幹業務を特に、グローバルで使いたいという要望をいただいている。日立の信頼性、安全・安心とマイクロソフトさんの持つ拡張性や迅速・柔軟性というお互いの強みを生かし、かつシームレスに両社のいいところをお使いいただけるサービスの提供を目指す」として、数字的にはという質問に対して、「日立はクラウド事業で今年度2000億円、2015年度に5000億円という数字を公表しているが、そのいろいろなところで、この提携がかかわってくるものと考えている」とコメント。日立のクラウドサービス全般から見ても広範囲に影響を及ぼす提携であるとした。

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