アカマイとリバーベッド、ハイブリッドクラウド環境でのSaaSアプリケーション高速化を実現するソリューション


アカマイ 会長の小俣修一氏

 アカマイ・テクノロジーズ合同会社(以下、アカマイ)とリバーベッドテクノロジー株式会社(以下、リバーベッド)は22日、共同開発したソリューション「Steelhead Cloud Accelerator」を、本日よりリバーベッドのパートナー企業を通じて提供開始すると発表した。

 今回発表した「Steelhead Cloud Accelerator」は、独自クラウドネットワーク「Akamai Intelligent Platform」を中核としたアカマイのインターネット最適化技術と、リバーベッドのWAN最適化技術を組み合わせたソリューション。SaaSアプリケーション配信をエンド・ツー・エンドで最適化することで、企業のハイブリッドクラウドネットワークにおいて、パフォーマンス低下の原因となっているパブリッククラウド領域でのアプリケーション高速化を業界で初めて実現したという。

 アカマイ 会長の小俣修一氏は、新ソリューションの発表にあたり、「クラウドという言葉は当たり前に使われるようになったが、その実態はあまり伝わっていない。実は、クラウドを導入した後、困難に直面している企業も多い。特に課題となっているのが、グローバル環境におけるSaaSアプリケーションのパフォーマンス問題だ。例えば、日本のデータセンターにあるSaaSアプリケーションをヨーロッパからインターネット越しに利用する場合、動作遅延が発生するのは避けられない。そこで今回、こうした課題を解決するべく、アカマイとリバーベッドの最適化技術を組み合わせ、ハイブリッドクラウド環境でSaaSアプリケーションを高速に利用できるソリューションを提供する」と述べている。

米Akamai エンタープライズ・クラウド事業部門担当上級副社長兼ジェネラルマネージャのウィリー・テハダ氏

 続いて、米Akamai エンタープライズ・クラウド事業部門担当上級副社長兼ジェネラルマネージャのウィリー・テハダ氏が、ハイブリッドクラウド環境で企業が直面する問題点について、「ハイブリッドクラウドの導入にともない、多くの企業では、SaaSアプリケーションがどこにあるのかがわからなくなり、コントロールがきかなくなってしまう。これに加えて、エンタープライズネットワークのアーキテクチャの問題として、SaaSアプリケーションを利用するために長いバックホールを通らなければいけない。この結果、エンドユーザーにとってSaaSアプリケーションのパフォーマンスが大幅に低下してしまう」と指摘。

 「アカマイでは、全世界に10万台以上のサーバーを置くことで、インターネット上に独自のクラウドネットワークを構成している。一方、リバーベッドは、企業内のプライベートネットワークに、10万台のSteelheadアプライアンスを置くことで、WAN最適化を図っている。今回、この両社のユニークなテクノロジーを組み合わせることにより、ハイブリッドクラウド環境におけるSaaSアプリケーションのパフォーマンスを最適化にするソリューションを実現した」(テハダ氏)と、新ソリューションはアカマイとリバーベッドの2社がもつテクノロジーならではのものであると強調した。


米Riverbed アジアパシフィックチャネル担当 シニアディレクターのスティーブ・ディクソン氏ハイブリッドクラウド環境におけるSaaSアプリケーション高速化の概念図

 「Steelhead Cloud Accelerator」は、リバーベッドのWAN最適化ソリューション「Steelhead」を導入している企業が月ぎめ契約で利用するアドオン形式で提供されるという。米Riverbed アジアパシフィックチャネル担当 シニアディレクターのスティーブ・ディクソン氏は、新ソリューションの概要について、「『Steelhead』に対して、アカマイの専用ソフトウェアを実装することで、新ソリューションの利用が可能となる。具体的な仕組みとしては、インターネット上を通っている間はアカマイのソフトウェアが最適なルートを検索。そして、データセンターの直前までくると、アカマイのソフトウェアの中に存在する仮想の『Steelhead』が作動し、拠点にある実際の『Steelhead』アプライアンスとの間でエンドツーエンドで最適化を行う。これにより、アプリケーションやエンドユーザーの場所に関係なく、物理的、仮想、クラウド、または異種混在環境などあらゆるIT環境において、SaaSアプリケーションの大幅なパフォーマンス改善を実現する」と説明している。

 なお、初期の対応SaaSアプリケーションとして、「GoogleApps」、「Salesforce.com」および「Microsoft Office 365」をサポートし、今後適用対象アプリケーションを順次拡大していく予定。

関連情報
(唐沢 正和)
2012/3/23 09:00